ソリューションを評価する2つの視点、<実行力>と<実効力>。

ゴールデンウィークに突入しました。

ぼくも昨日から連休に入って喜んでいたんですが、TVのニュースを見ていたら「ゴールデンウィークも後半に突入」と言われ、少しだけ水を差されました…比べるものではありませんが、そんなに休んでる人がいるのかと。いえ、後半だけの連休でも十分ありがたいです。

さて、大型連休ともなると、必ずと言っていいほど目にする映像は、大混雑する新幹線のホーム、空港の出国/帰国ラッシュ、大渋滞の高速道路の三点セットですが、高速道路を見ると必ず思い出すのが、サービスエリアのデザインの巧みさです。

高速道路の駐車場は必ず斜めなんです

何が巧みかって、高速道路のサービスエリアの駐車場は、必ず斜めに駐車するようになっているそうです。言われてみればという感じでしょうか。

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年末年始の旅行で立ち寄ったサービスエリアの写真ですが、たしかに斜めです。

いつ見ても感心するんですが、これは逆走を防止するためのものだそうです。逆の方向に出てしまったら大変ですからね。方向感覚の鈍いぼくは、休憩から帰ってきたらどっちから来たかなんて全く分からなくなりますから…

それでも斜めに駐車してあるだけで、前に出そうと後ろに出ようと自ずと車の進行方向が決まります。迷う必要がなくなる、よくできたソリューションだと思います。

ソリューションを評価する2つの視点

「逆走を防止する」という課題に対し「斜めに駐車させる」。お手本のようなソリューションですが、こういった、課題に対する打ち手を評価するときに大切にしたい2つの視点があります。

<実行力>と<実効力>です。

●実行力

ソリューションの”実行力”とは、手を打つ側の人が本当に実行に移したいと思う策であることです。「実行される力」のある策と言い換えてもいいかもしれません。

ある課題が浮上してきた時、対策会議なる場では喧々諤々意見が交わされ、ある策を打つことが決議されます。実現可能性(feasibility)、つまり技術やリソース面の可能性は押さえられていて、実行することは可能なはずなのに、それでも実際には実行に移されず、計画倒れになるということがあります。

そういう時の関係者の心中は「やってもいいけどさ、本当にやる、それ??」という感情が渦巻いていたことでしょう…大義名分を保つためだけのものや、上が勝手に決めたものや、その場をやり過ごすためだけに決められたソリューションというのは、決して実現しないものです。

●実効力

”実効力”のある策とは、実際に効果がある・機能する策のことです。

どれだけ論理的に正しくても、人間心理を無視・軽視したものは往々にして機能しません。いい案が浮かばず、苦し紛れに精神論や心がけに解を求めることも多いですが、これも効果が出にくいです。

「やってもいいけどさ、本当にやる意味ある、それ??」と多くの人が思っているときは要注意ですね。

思いつきで終わらせず、きちんと評価

駐車場のケースであれば、たとえば「交通整理のスタッフを立たせる」とか、「ルールを決めて貼り紙で注意を促す」とか、ほかにもソリューションはいくらでもあるでしょう。しかし、逆走を監視しようと思ったら駐車場全体に多くのスタッフを配置しなければいけないし、貼り紙を貼ったところでドライバーがそれを見てくれるか、発進するときに思い出してくれるか分かりません。

「本当にやる?」「本当に意味ある?」の尺度から見て、斜めに駐車させるというシンプルなアイデアの方がはるかに優れていることが分かりますね。

本当に価値のある手を打とうと思ったら、思いついた案をきちんと<実行力>と<実効力>の2つの視点でチェックしてみることをおすすめします。

連休で高速道路を利用する方は、ぜひサービスエリアの駐車場も観察してみてくださいね(笑)

***

東京は本当にいい天気で、まるで夏のようですね…トレイルランとトライスロンの季節がやってきました。

家にいるときは窓を開けっ放しにしているので、家を出るときはいつも戸締まりを忘れそうになるんですが、<実効力>の乏しい心がけ程度の策しか打てていないので、反省して別のソリューションを考えます(笑) 

Apple Watchより欲しかったスマートウォッチはこれ。Withings "Activite"買いました。<後編>

Apple Watchの出荷が始まり、Facebookのタイムラインもこのネタでにぎわっております。が、その裏でこっそりぼくは別のスマートウォッチを購入しておりました…… 

Apple Watchより欲しかったスマートウォッチはこれ。Withings “Activite”買いました。<前編> | reboot blog

の続きです。

全部開けると、こんな感じ。

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革バンドの他にシリコンベルトがもう一つと、ボタン電池の予備、電池交換のために裏蓋を開けるためのツールが入っています。

取扱説明書にも日本語もありました。

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3万円も安いのにActivite Popを選ばなかった理由

なお、このActiviteですが、廉価版のActivite Popも今年のCESで発表になっています。

最大の違いはなんといってももちろん価格。$300ほど安いようで。驚くべきことにSmart Watchの機能としては全く同じ。メーカーの発想だと、機能の差でLine-upを組んでしまいそうなところ、全く同じ機能を提供した廉価版というのは、新鮮です。

それでもActivite Popを選ばなかった理由はといえば・・・

雑に扱っても気にならないサファイアガラス

オリジナルの方は、強度に優れ傷がつきにくいサファイアガラスを使用。一方、Popの方はミネラルガラスのようです。ほかのモノと擦れたり当たったりということが日常茶飯事の腕時計です。多少雑に扱っても大丈夫という安心感は、毎日気軽に付け続けるために個人的には重要。気休めかもしれませんが。

ちなみに、iPhone6でも液晶部分に使われると散々噂されたサファイアガラスでしたが、結局カメラカバーと指紋センサー以外は非搭載。Apple Watch/Apple Watch Editionに搭載されましたね。

革バンドと白フェイス

完全に好みの問題ですが、端整な白フェイスとそれに似合う茶色い革バンドがよかったので、デザイン的にはオリジナル一択でした。Activiteには革のものに加え、シリコンベルトも付属していますが、Popはシリコンだけのようです。

Smart Wathらしからぬ(?)”SWISS MADE”

オリジナルは、フェイスにも記載されているように「Swiss Made」、Popはそうではないとのこと。スイス製じゃないと時計とは認めない、といったこだわりは全くないんですが、「スマートウォッチなのにスイス製」というところにはちょっとグッときます。

そういうわけで、ぼくはオリジナルの方を選びましたが、Popのコスパはめちゃくちゃ高いですね・・・とりあえずPopを使ってみるという選択もありかと思います。

 

強いて言えばの、今のところの不満点

不満というほどの不満もないんですが、ちょっと気になるかなという点をご参考まで。

日付の表示がない

どうってことないんですが、前の時計には日付表示があったので、「今日、何日だっけ?」という時、ちょこちょこ見てしまいます。でも、それ以上にスッキリしたフェイスが気に入っているので不満というほどでもないです。

同期が遅い

BluetoothでiPhoneと同期するんですが、少し時間がかかります。接続から同期が完了するまで体感的には30秒ぐらい?この辺はソフトウェアのupdateで改善されることに期待。

アラーム設定が1つ&スヌーズ機能なし

アラーム設定はアプリ側で行うんですが、設定できる時刻は一つだけです。スヌーズ機能もないので、これだけに頼るのは少し不安かもしれません。でも、音こそ出ないものの、手首で直にバイブするので結構起きられるものです。

ちなみにフェイスをダブルタップすると、現在時刻にあった針が、アラーム設定時刻までクルクル動いて確認できます。この挙動がなんかかっこいいです。まだコツを掴めておらず、ダブルタップ成功率2割以下ですが(笑)

夏場も革バンドを付け続けるのか問題

これは商品に対する不満というより、ユーザ側の問題かもしれませんが、寝るときも革バンドの腕時計を付けたままというのは、人によっては気持ち悪いかもしれません。夏場は特に嫌かも・・・

しかし、そんな時は、バンドの根元の小さな玉のような部分を内側に引っ張ると、すぐにバンド交換ができます。でも、多少慣れが必要。

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Activiteはシリコンバンドも付属、肌触りもまずまずでこれなら気にならないかも。水深50mまで防水なので、シリコンバンドであれば海やプールでも安心。デザインもなかなか。

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ちなみに、ランニングの時はGARMINのこちらを使っているので、いずれにしてもActiviteは使いません・・・

  まあ、ちょっとした不満はいくつかありますが、大満足です。完成度、相当高いです。

2015年4月27日現在では、すでに品薄状態・・・Amazonの正規代理店では3~5週間待ちになっているようです。気になる方はお早目に!

Apple Watchより欲しかったスマートウォッチはこれ。Withings “Activite”買いました。<前編>

Apple Watchの出荷が始まり、Facebookのタイムラインもこのネタでにぎわっております。が、その裏でこっそりぼくは別のスマートウォッチを購入しておりました…… 

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こちら、Withingsの”Activite”、60999円。やっと届きました。欧米では昨年末に発売され、日本でも今年、2015年4月16日にようやく発売になりました。この情報を入手してすぐにAmazonの正規代理店で発注、しばらく「納品日未定」でしたが、最終的には一週間程度で届きました。腕時計しか発注していないとは到底思えない、バカでかい箱で。

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30代半ばの社会人として、ここ数年は一応それなりには見えるように、某スイスブランドの二桁万円ぐらいの腕時計を使っていました。

その時計も気に入ってはいたんですが、もう5年ほど使っていて、「そろそろオーバーホールに出さないとな」「でも面倒だな」「気分転換に時計変えようかな」「スマートウォッチ使ってみようかな」等と思い煩っていたところでした。

そんな頃、Appleが満を持してスマートウォッチを出すということで期待していたんですが、公表された情報を眺めていても、どうも自分の手にそれが付けられているイメージが湧かずにいました。MBAとiPhoneを長らく愛用する、まあApple愛好者なんですが、それでもいかにもスマートウォッチ然とした姿にピンと来なかったのです。

”Activite”を選んだ理由

というわけでしばらく色々と物色してたんですが、写真で見た瞬間に「これやん!」と即購入を決断したのがWithingsの”Activite”でした。

Withingsは2008年に設立されたフランスのIoT製品メーカーで、ヘルス系のライフログに強いイメージがあります。数年前に発売されたWiFi接続の体重計はけっこう評判になったような。

この時計はその名の通り、Activity Trackerです。歩行・走行・睡眠の日常的な活動を絶え間なく計測してくれます。そのデータの表示やそれをベースにしたアドバイスなどはアプリで見ることができます。時計の設定やアラーム時刻の変更もアプリから。

ライフログに関してはそれほど必要性を感じたわけではありませんでした。仕事に追われる生活の中で体調管理の必要性は感じながらも、一市民ランナーとして日常的に運動もしているし、体脂肪率やBMIを気にしなければいけないほど人間ドックの結果も悪くない。

それでもこれを選んだのは、まあ言ってしまえば、一目惚れしたわけですね。単純に、これを身につけたいなと。
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言わなきゃスマートウォッチだと絶対に分からない

何がいいかって、いかにもデジタル然とした他のものに対して、どう見てもスマートウォッチに見えないじゃないですか。

今のところぼくがスマートウォッチに求めるのは、センシングデバイスとしての機能ぐらいで、情報端末やメディアプレイヤーや多種多様なアプリケーションで時間をつぶすための機能ではありません。むしろ、スマホ断ちしたいぐらいなのに、手首にまで情報が現れるようになったらスマウォ中毒になるのは間違いなし…… ちらちら一日に何度も何度も、自分の意に反して時計を見なければいけない生活には陥りたくないということで。

このあたりはあくまで今の気分なので、半年後には180°反対のことを言っている可能性も高いですが(笑) Apple Watchがユーザのインスピレーションを引き出し、新しい使い方とライフスタイルがどんどん開拓されていくことに期待しています。Apple Watchもグランス・ジャーナリズムも面白いと思いますが、今のところまだ自分の中でちょうどいい使い方、キラーコンテンツが見つかっていません。

リューズがない…アナログ時計としてのデザイン進化

それにしてもシンプルで端整なデザインです。時刻表示と、その内側のサブダイヤルがその日の活動量の100%表示。これしかありません。

そして、この時計、リューズがないんですよ。
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アナログ時計の顔をしていてリューズがないって新鮮じゃないですか?この真円のフェイスがとても美しいと思います。とても小さなことなんですけども。

Apple Watchがリューズの部分を「デジタルクラウン」と呼んで、新しいUIの入り口にしたのとは対照的です。アナログ時計顔なのにリューズをなくしたActiviteとデジタル時計顔なのにリューズに新しい役割を与えたApple Watch。おもしろいですね。

時刻の設定なんかはすべて、Bluetoothで接続したスマホのアプリ(iOS/Android両方あり)で行います。スマホの画面いじると腕時計の針が物理的に動くのは新鮮な驚き。
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リューズのない、完全にシンプルで端整なフェイス、アナログ時計のデザインとしても進化しているように感じるんですが、それを実現しているのはこういうアプリだったりして、アナログとデジタルのベストハイブリッドな感じですね。

めっちゃ軽い

これは、前につけていた某スイスブランドの腕時計との比較になりますが、軽いです。軽いので寝ているときに付けていても全くストレスになりません。生まれて初めて腕時計して寝ました。

どうやって取っているのかは分かりませんが、入眠時間や睡眠の浅さ・深さもちゃんと取れてます。
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これまで使っていたスマホの睡眠計測&アラームアプリ「Sleep Cycle」での同じ日のデータはこちらですが、精度はほぼ同じようです。
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このアプリもめちゃめちゃいいんですが、ケータイを充電した状態でベッドに伏せておく必要があるので、電源が必ずしもベッドの近くにあるとは限らない出張先や遠征先で使えないのが難点でした。

Activiteのアラームはバイブなので、家族と一緒に寝ている場合や遠征で知らない人と相部屋の場合など、音が出ないので迷惑になりません。直に体についた状態だと、弱めのバイブでも意外なほど起きられました。

充電がいらない

これはでかいです。Activity Trackerとしてはずっとつけていることは大事。コアなロガーになると、データが計測できていない時に活動したくない!という、本末転倒な事態が発生しますからね(笑) 

頻繁な充電が必要ということになれば、その間は時計を外さざるを得ません。これは避けたい。昨年末のHK168という100マイルトレランレースの途中で、GARMINのGPSウォッチとモバイルバッテリーを手に持って充電しながら走ったという、苦い思い出に裏付けられています。40時間近く走り続けるレースで使う時計と同じように考えるのもどうかと思いますが。
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付属の専用ツールを使って、自分で裏蓋を開けてボタン電池を交換できます。元々入っていた電池で動作しなかったので、さっそく付属していた予備バッテリーと交換。固いけど、何とかなります。交換したら、カチッと音がするまでしっかり閉めるだけ。8ヶ月は保つそうですが、時計屋に持って行かず、自分で作業できるところがところがいいですね。

こうして改めて書いてみると、Apple Watchがこれから提供してくれるであろう新しいUser Experienceやライフスタイルよりも、単純にActiviteのモノとしての完成度の高さと、すんなりと今の生活に浸透してくれる自然さの方に惹かれたってことなんでしょう。毎日、付けたくなること優先ということで。白フェイスと茶色い革バンドのものをちょうど探していたということもありますが。

久しぶりにワクワクするモノに出会って、ちょっと書き足りないので、後編に続くことにします…… 

オフィス・書斎・カフェよりもっと「考える」のに最適な環境って?

「考える」という作業は、あらゆる人にとって最も重要な作業の一つです。

なんて改めて言うほどのことでもないんですが、企画することを仕事にしているぼくにとっては、考える時間を量的にどれだけ確保できるか、その時間を質的にどれだけ高めることができるかというのは死活問題です。

ところが、(不毛な)資料作成や(不毛な)会議や(不毛な)他者の説得なんかで、考えるための時間は意外と多くないというのが現実で、だからこそいかに質を高めるかということが大切になってきます。

社会人を10年以上やってきて、ずっとこのことに悩まされてきて、それがピークに達したこの半年、一つの結論に至りました。思考の質を上げたければ、机の上でうんうん唸ってないで、「現場へGO!!!」だと。

「考えること」の質を上げるために最も重要なこと

先週の話ですが、アメリカに出張に行ってました。まさにぼくにとっての「現場」、お客さんとダイレクトに(正確に言うと、マジックミラー越しに)触れ合うために。いくら論理的に正しそうに見えていた議論やその結果の仮説も、目の前のお客さんが繰り広げるFactには到底かないません。そして、お客さんと直に触れることから得られる情報量とインスピレーションは、いつだって圧倒的。

たしかに質を上げるために大切なのは環境です。いつ、どんなところでどんな風に考える作業に入るのかは生産性に大きく影響します。本当は、いつでもどこでも高品質思考ができるのが理想ですが、いつでもどこでも低品質思考というのが実態。

ぼくも最適な場所をずっと模索してきましたし、フェイバリットな場所の変遷もあり、それは休日のオフィスの時もあれば、行きつけのカフェだったこともありました。存在しない架空の書斎に憧れたことも。

とりとめなく思索を巡らすとか、想像の世界に没入するといったタイプの思考であれば、静かで集中できる、たとえば休日のオフィスやカフェや書斎のような環境がぴったりなのかもしれません。

が、自分のように企画することを仕事とし、考えるべきテーマや対象が割と明確に決まっているような場合、そもそもそういうことではありませんでした。繰り返しますが、考える作業にもっとも適している環境、それは断然「現場」です。

現場とは、考えるべきテーマや対象が目の前にあり、五感をもってそれを体感できるところ。具体的な場所でなくても、そういったインプットが得られる状況であれば場所はどこだっていいんだと思いますが。

「三現主義」とはよく言われますが

ものづくり、特に品質改善や問題解決において、「三現主義」ということがよく言われます。三つの「現」とは、現場・現物・現実のこと。

そう、「現場」が大事なんて、社会人になった時から言われていたことでした。しかし、実践するのは意外と難しいのです。おそらく、多くの人たちにとって「考えること」=「お勉強」で、黙って静かに机に向かうものと刷り込まれているからではないでしょうか。大人にとっての「考える」、本当の意味での「考える」はそうではないでしょ、と気付くのに10年以上を費やしてしまいました。

 

コピーライターがコピーを書く方法

ちょっと話は脱線しますが、コピーライターがコピーを書く方法の分類の一つとして、

・手で書く

・胸で書く

・足で書く

というのがあるらしいです。

「手で書く」というのは本数。書く量です。量が質を担保するという考え方。「胸で書く」というのは、ハートで書くということ。つまり相手の感情を想像し、共感しながら書くということです。最後に「足で書く」、これは取材です。コピーの対象となる事物の現場に赴いて、実際に現物に触れてみて初めて言葉にリアリティが生まれます。

コピーを書く作業においても同じなんですね。3つの「現」を知り、体感することで、机上では書けないリアリティのあるコピーを生むのでしょう。アウトプットの形こそ違うものの、コピーを書くことも企画することも、知的作業としてはほとんど同じもの。やっぱ大事なんですね、現場。

<机の上で考える>より<現場に行って考える>のはもちろん。

<現場に行って考える>より<考えるために現場に行く>ぐらいの姿勢がいいんじゃないでしょうかね。

***

こういうことを言うと必ず、「事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ!!!」 とか言いいながら腰を折ってくる人がいるんですが、こんな青臭い台詞にぽかーんな新世代も会社に存在するようになって、それはそれで焦りを感じています。

今さらながら2014年度「8ヶ月連続ウルトラマラソン・ウルトラトレイルチャレンジ」実績レビュー②<レビュー編>

2014年度「8ヶ月連続ウルトラマラソン・ウルトラトレイルチャレンジ」のレビュー編です。

前のエントリはこちらから。
今さらながら2014年度「8ヶ月連続ウルトラマラソン・ウルトラトレイルチャレンジ」実績レビュー①<実績編> | reboot blog

レビュー1:どんな敵も侮るべからず。

まず、最大の反省はサロマ湖100kmウルトラマラソンのDNF。

実はこのレース計画を組んだとき、8本のうち「サロマが一番ラク」と高をくくってました。この慢心。

4、5、6月はロードのウルトラマラソン3連発で、3戦目にもなればさすがに慣れているだろうと思ってました。4月の富士五湖は112km(実際はコース変更で108km)と距離が長く、5月の野辺山はアップダウンの激しい難コースで、いずれもフラットで100kmきっかりのサロマ湖ウルトラだったら、悪くても完走はできるだろうと。

結果的には、30度近い猛暑の中、60kmほどで関門にかかりました。13時間と、制限時間が短かったことなど言い訳にもならないぐらい全く走れませんでした。

足元をすくわれるのは、いつだって相手を見くびった時です。計画上は、他のレースに比べて相対的に小さな目標に見えてしまったサロマ湖でしたが、比較すべきは他のレースではなく、自分の実力でした。ごめん、サロマ。いつかサロマでSub10やります。

レビュー2:間髪入れずにレースを走り続けろ。

よかったところもレビューしましょう。

何よりよかったのは、8ヶ月走り抜いて体が無事だったということ。

速く走れるようになりたいというよりは、「80歳でウルトラマラソンを走れる心と体」をつくるという長期計画の起点だった2014年なので、「どこまでやっちゃうと壊れるのか」「どこで堪えたら壊れないのか」そこのところの感覚を得られたのは収穫でした。

なんせ毎月毎月、いやでもレースがやってくるわけなので、壊れないということは大事です。そして、壊れても再起動できるということが大事です。そのためには、いかに走るかと同様に、いかに休むかも大事になってきます。つまり日々、24時間使ってウルトラランナーになるわけですね。

そういうことが何となく分かってきたのも、毎月レースに追われ続けたからこその話。レースプランとしてはめちゃくちゃなので、決して速くはなりませんが。

レビュー3:ただただ前倒すべし。

最後に、UTMBへのエントリー権を逃したのはやっぱり悔しいっす。HK168を完走できなかったのもさることながら、その結果UTMBが先送りになってしまったことは本当に悔しい。

でも、よく考えると、一年でよくもう一歩というところまで来たなあとも思うわけです。

「2014年は準備の年!」なんてのんきなことを言っていたとしたら、絶対に7pt獲得まで来れていません。昨シーズン本気でがんばったからこそ、今シーズンは3pt以上のレースを一本でも完走すればいいという状況まで来れています。

ストレッチターゲットを本気で狙いにいって、仮にダメでも元のターゲットは余裕で達成。これは仕事における目標達成のための必勝パターンですが、レースも同様。前倒しで格上レースを走りにいって、仮にダメでもリベンジでは余裕で完走。これです。

今年、UTMBエントリー権を獲得してからもう一回言いたいと思います(笑)

***

昨日から始まったUTMFのエントリーを完了!
抽選、当たるといいんですが……

エントリーは3/15日までですね。お早めに!
ULTRA-TRAIL Mt.FUJI【UTMF・STY】

今さらながら2014年度「8ヶ月連続ウルトラマラソン・ウルトラトレイルチャレンジ」実績レビュー①<実績編>

今日から3月に入り、本格的なトレイルランシーズンが始まります。またこの季節がやってきました。2週間後にはIzu Trail Journeyが控えています。

というわけで、かなり今さらではありますが、今シーズンが始まる前に昨シーズンを振り返っておきたいと思います。記録用にかろうじて書いた「HK168(残り4.5km)リタイア記」をのぞき、仕事に集中するために4ヶ月ほど中断していたこのブログも再開です。

ラン部門2014年度目標の復習

まずは、目標の振り返りから。

2014年は、こちらにも書いた通り、


毎月、ウルトラレースを走る!


ということを自らに課し、「8ヶ月連続ウルトラマラソン・ウルトラトレイルチャレンジ」というものをやっておりました。

そして、これは憧れのUTMBにエントリーするための8ポイントを獲得するためであり、UTMBを完走するために、まずはロードの100kmウルトラマラソン級は、抵抗なく走れるようになるためのステップでした。

さっそくその結果を振り返っていきましょう。

「8ヶ月連続ウルトラマラソン・ウルトラトレイルチャレンジ」実績

実績はこの通り。ちなみにウルトラレースの私的認定基準は、100km以上の距離 and/or 制限時間14時間以上でした。

・4月: チャレンジ富士五湖112km ⇒完走
・5月: 野辺山100kmウルトラマラソン ⇒完走
・6月: サロマ湖100kmウルトラマラソン ⇒DNF@60km
・7月: 大雪山ウルトラトレイル110km ⇒完走
・8月: IRONMAN JAPAN 北海道(トライアスロン226km) ⇒完走
・9月: 信越五岳トレイルランニングレース110km ⇒完走
・10月: 日本山岳耐久レース(ハセツネ) ⇒完走
・11月: HK168 ⇒DNF@163.5km

6月のサロマ湖と11月の香港でDNFとなったものの、予定通り全てのレースに出走。

これが始まる前は、「ウルトラマラソンって、そもそも毎月走っていいものなんだっけ??」という感覚。走力的にも一度ウルトラマラソンを完走したことがある程度だったので、4月5月でとっとと撃沈し、夏を迎える前にうやむやにしている可能性もゼロではありませんでした…

結果はDNF率こそ25%ではありますが、DNS率は0%。

どれだけギリギリの目標設定ができるかに賭けているわけですから、全力を尽くした上でのDNFは勲章みたいなもんです。それ以上に、DNSせずに8ヶ月間をやり繰りしたことは、我ながらよくやったと言ってやりたい気分です。

「UTMBエントリーのためのポイント獲得」実績

一方で、残念ながらUTMBエントリーのための「3レース以内で8ポイント(以下、pt)」は獲得することができず。現実は厳しい……

3レース以内で8ptということは、
・4pt + 4pt
・4pt + 3pt + 1pt以上
・4pt + 2pt + 2pt
・3pt + 3pt + 2pt

のいずれかが必要。

・7月: 大雪山ウルトラトレイル110km ⇒2pt
・9月: 信越五岳トレイルランニングレース110km ⇒3pt
・10月: 日本山岳耐久レース(ハセツネ) ⇒2pt

と3レースで7ptまでは来たもの、もう一本3pt以上の完走が必要という状況で、背水の陣で臨んだHK168(4pt)を残り4.5kmでDNFとなり、あと一歩というところで散りました。全く現実は厳しい……

「100kmウルトラマラソン級は、抵抗なく走れるようになる」ことはできたのか実績

最大の目標だったUTMBへのエントリー権を逸したので、正直言ってそれ以外は、もうどうでもいいと言ってしまいたいところですが、それでも収穫だったのが、100kmウルトラマラソン級に慣れることはできたこと。

「毎月ウルトラ走っていれば、さすがに慣れるだろ」という極めて雑な期待ではありましたが、今では100kmウルトラマラソンを、一年前に42kmフルマラソンに抱いていたのと同じくらいの感覚で走れるようになりました。

なおこれは、以前42kmを走っていたのと同じくらいの労力で100kmが走れるようになったという、走力の向上を意味するわけではありません。残念ながら。そんなに格段に走力が上がるほど練習はしておりませんので。残念ながら。

ただ、100kmに対する心理的なハードルは確実に下がったのです。「明日100km走れ」といきなり言われても、以前だったら42kmに感じていた「いきなり言われても無理っしょ」感と同じくらいの嫌さレベルで100kmを走る覚悟ができるようになりました。

本当に成長したのか、イマイチ分かりませんが…

(レビュー編につづく)

***

この4ヶ月は、完全に仕事中心の生活を送っていましたが、少しだけ落ち着いたので、ブログも徐々に再開したいと思います。

HK168(残り4.5km)リタイア記⑬|まとめの代わりに:HK168をオススメしたい人、オススメしない人。

2014年11月末、8ヶ月連続ウルトラマラソン/トレイルチャレンジの最終章、「HK168」で香港に行ってきました!

結果は…全168kmのうちの163.5km地点、ゴール手前のCP15で関門時刻に間に合わずDNFとなりました。無念のリタイア記です。

前のエントリはこちらから。

HK168(残り4.5km)リタイア記⑫|最後の最後でまたロスト、163.5km地点にてDNF。 | reboot blog

そんなわけで、結局37時間半に及んだ長い長いレースをリタイア記として書いてきたわけですが、書くのも嫌になるぐらい長かったっす(汗)

長いものを、そのままきちんと長く書くのは思いのほか大変だったんですが、それでもそうしようと思ったのは自分にとっての初100マイルレースを、記録としてしっかり残しておきたかったというのが理由の半分。残りの半分は、まだ2回目のこの大会、事前に調べていても情報があまりなかったので、これから走ろうという人に、多少なりとも参考になる情報を残しておこうということで。っていうか、その「これから走ろうという人」とは自分です。必ずリベンジします

HK168をオススメしたい人

もちろん自分でも、またこのレースを走りたいと思っていますが、他にもオススメしたい方がいるので、まとめの代わりとして。

・適応力を鍛えたい人

丸めた言い方してますが、ずばり「ロストしたい人」ってことですね!

マーキングはあるにはあるんですが、100人走って100人迷わないようなものではありません。迷いやすいところに人が立っているわけでもないので、初めての場合はロストしやすい箇所がけっこうあります。距離表示もありません。この辺が、日本の大会とは一番大きく違うところかと。

基本的には山に入る以上、マーキングがなくても自力で回ってこれるくらいであるべきだとは思うので、運営が悪いというよりは日本の大会が過保護なのかもと思ったりもしますが。

そもそも若い大会なので規模も小さく、良くも悪くも手作り感たっぷりです。タイムの計測も、チップこそあるものの、チップでのタイムの計測は2カ所ぐらいしかなかったような…… あとはナンバーを読み上げてスマホ(のアプリ?)に打ち込んでました。まあ、これが軽いリソースで運営を回す最新のやり方なのかも。

エイドも、事前に大会から発表されていた通りのものが各エイドで出てこず、当てが外れてがっかりということはしばしば。CP4のように予定通りカップヌードルはあるけど、お湯が切れていて…… ということも。まあ、こういうことよくあることだし、スタッフさん&ボランティアはとても温かいです。ドロップバッグを3カ所使えるので、これで補えば問題ないです。

・とにかく海外のウルトラトレイルレースに挑戦したい人

海外レースとなると、国内とは少し勝手が違ったりして戸惑うことも多々あり、レース以外のところで消耗することも多いです。なので、レース自体は走力に比べて少し余裕があった方がいいかもしれません。

HK168は、累積標高6580m(※)ですが最高標高が1000mにも満たないですし、深夜でも動いていれば半袖+アームカバーで対応できるぐらい。トレイルもよく整備されていて、全般的に堅めですが走りやすい。コースや気候条件は100マイルレースとしては比較的ラクな方かと思います。

日本からはアクセスもいいので、海外レースの中ではハードル低めではないかと。

※オフィシャルには6580mとなってますが、ロストしまくった結果、GARMIN計測によると9300m。感覚的には8000m前半ぐらいかなという印象。

・UTMBエントリーのためにポイントが欲しい人

日本国内だと4ポイントレースは数えるほどしかなく、2014年だと

・UTMF (169km/9478m)

・OSJ おんたけ100マイル (155km/6400m)

・山田昇杯 (120km/8300m)

・OSJ KOUMI100 (155km/8945m)

の4戦のみ。UTMBエントリー(3戦以内で8ポイント以上)のためには、3〜4ポイントのレースが必須なので、どうしても限られたレースにエントリーが集中し、抽選に外れれば、走ることすらできません…… 

HK168は100km以上のトレイル完走経験があればOKで、今のところはエントリーすれば抽選なしで走れるので、スタートラインに立つまでのハードルも低いです。

エントリー費も安めですし、LCC使ってゲストハウスに泊まるなど、工夫すれば国内レースより安く上がるぐらいです。IRONMAN JAPANはエントリー費だけで8万円でしたから…… 

HK168をオススメしない人

・ゆる〜いレースが嫌いな人

大会受付がスポーツ用品店の臨時テーブルだったり、9時スタートなのに8時58分にスタートしたり、Cut-off Timeが告知なしで1時間早まっていたり、色々とゆる〜いです。小さな大会だからなのか、まだ2年目だからなのか、香港だからなのか理由は不明。

そういえば、序盤と半分から後はほぼずっと最後尾を走ってましたが、スイーパーはいませんでした。リタイアも申告不要なのか(?)、CPの間でレースを断念して勝手に帰っていく人もよく見かけました。

ぼくがリタイアした時は、迷いに迷ってCut-off Timeから30分後にCP15に到着し、スタッフの車でゴール地点まで連れて帰ってもらったんですが、これはリタイアする人を収容する車ではなく、エイドの片付けを終えたスタッフが、たまたまそのタイミングでゴール地点に戻るところだったから乗せてもらったという、ヒッチハイク以上のものではありません。

あと10分遅れていたら、跡形もないCPで途方に暮れていたことでしょう。ゴールに戻れていなかったら、ゴール地点に送られていた自分の荷物と着替えもどうなっていたのか……

・運が悪い人

リタイア後のことも含めて、今回はあらゆることが綱渡りでした。その理由の大半が自分の実力不足であることは間違いないんですが。

レースの報告をしたときに、37時間かけて163.5kmも走ったのに完走できなかったなんてかわいそう!と言ってくれた友人知人がたくさんいたんですが、どちらかと言うと、163.5km地点までたどり着けたこと、もっと言うとゴール地点まで無事に戻り、翌日予定通り帰国できたことが偶然以外の何物でもなく、2014年で最も幸運に恵まれた日だったとすら思っています。

走力でねじ伏せられるぐらいの余裕があるのでなければ、運を味方につけることも必要かと(笑)

ぼくはアメリカ横断ウルトラクイズという番組が好きだったんですが(そういえば以前こんなエントリも書きました)、HK168を完走するにはやっぱり「知力、体力、時の運」がすべて必要だったと痛感しています。ニューヨークまで一歩及ばず…

 

終わりに、ごくごく個人的な感想。

色々ありましたが、このレースに満足はしてないけど、納得はしています。

2014年のランにおける最大の目標だったUTMBエントリー権の獲得は、このDNFによって残念ながら達成できませんでした。でも、間違いなく今季のベストレースだったし、関門に追われ続けた後半の80kmは今季のベストランでした。

ゴールこそできなかったものの、「一番最後までレースを捨てなかったランナー」であったことは収穫だし、それこそがこの一年の集大成。

そういう意味ではCP8には間に合って本当によかった。それがなかったら、その後のがむしゃらランはなかったので。そして、CP15に間に合わなくてよかったです。必ずしも、頑張ったことがが報われるわけではないということも分かったので。現実は残酷なものです。

ここで得たことは、また『ラン大学で学んだこと』として書いてみたいと思います。

***

ちなみに、レース翌日は、普通に宿を10時頃チェックアウトし、レース後カーボローディングへ!

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香港粥がめっちゃうまいっす。胃にも優しい(涙) ネギと生姜と出汁醤油のつけダレ?が美味。

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とめどなく栄養を欲する体に素直になってハシゴ。筋肉痛はあるんですが、不思議と初フルマラソンや初ウルトラマラソンの時とは違って普通に歩けるぐらい。走り過ぎて、体がちょっと壊れてるのかもしれません。

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牛バラ麺もまた美味。この日に帰国してから年末まで、30日間休みなしで働くことになるとは、この時は思ってませんでしたけど・・・

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リベンジを果たすため、必ずまた香港に帰ってきます!

HK168(残り4.5km)リタイア記完。

HK168(残り4.5km)リタイア記⑫|最後の最後でまたロスト、163.5km地点にてDNF。

2014年11月末、8ヶ月連続ウルトラマラソン/トレイルチャレンジの最終章、「HK168」で香港に行ってきました!

結果は…全168kmのうちの163.5km地点、ゴール手前のCP15で関門時刻に間に合わずDNFとなりました。無念のリタイア記です。

前のエントリはこちらから。
HK168(残り4.5km)リタイア記⑪|5分前…7分前…関門をくぐり抜けて140km。 | reboot blog

CP13:Shing Mun Pineapple Dam@141.5km 〜 CP14:Shing Mun Main Dam@151km

行楽客も多いダム周辺をまわり、山越えしてまた貯水池に降りてくる9.5km。
コース図CP14

ほぼ舗装路のこのパート、急登はあるけどなぜか3時間の設定。
高低図CP14

ここまで13個の関門をくぐり抜け、かろうじてCP14への挑戦権を得たものの、最終組であることは相変わらず。エイド休憩中に一緒になった中国からの青年ランナーと一緒に出発。するも、青年はエイドを出てすぐに気持ち悪くなり、補給したばかりの水分を木陰でリバース。みんな満身創痍です……

「少し休んで行くから先に行っててくれ」と言ってる風の、英語が全く話せない彼に、「途中で必ず追いついてこいよ!」と伝わった風で前に進む。そういえば、CP8を一緒に出た日本の方は、どこまで走れたんだろう?せめて御礼だけでもきちんと言いたかったな。

散策を楽しむ観光客もいなくなったところで本格的な登りスタート。
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眠気との付き合い方に慣れてきて、直線なら目をつぶりながらでも歩けるようになってきた…… よく考えたら丸一日以上寝てないんだな。この斜度だと、脚の重さに任せてちんたら歩いてると、あっという間に15分/kmぐらいまで落ちてしまう。
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そして再び、夜がやってきました。レース前は着替えたくなったりするかな~と呑気なことを考えてましたが、そんなことはどうでもよかった。どれだけベタベタしてようと、ドロドロしてようとお構いなし。Who cares???

登りの仕上げに尖がった山を二つ。暗闇の中、気を抜いたら滑落しそう。
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頂上からは、さすが香港の夜景。
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しかし、見とれている時間はなし。暗闇の中、一人孤独に石段を下り降りる。青年ランナーは来ているだろうか。ヒザが笑ってヒクヒク。自分の脚だという感覚がない。
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長く走りすぎて、もうヒザのテーピングも脚からはがれなくなってんじゃないかなーとかつまんないこと考えながら下っていると、ダムを渡る橋が、うっすら暗闇の中に見えてきた。もうすぐCP14。

エイドと勘違いして、広場でバーベキューパーティーをやっていた一団に突入し、「Check point??」と騒ぎ立て混乱させる…… ごめんなさい。

そこから500mほど先に発見したエイドは、なぜかもう片付けを始めている……

曰く、ここのCut-off Timeは18:30だと。いやいやいや、大会が事前に出してる情報にはPM7:30って書いてあるよ、前のエイドのスタッフにも7:30だって確認したよ、7:30だって分かってたらこんなにのんびり来るわけないっしょ(これはウソ)、と必死の主張。
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スタッフが本部に電話で確認、”特例として”通過させてくれるとのこと…… いやいやいやいやいや特例ちゃうやろっ!ルール通りやろっ!!そうこうしていると青年ランナーも降りてきてエイドに到着。

もう完走さえできれば、それでいいんです。スタッフのみなさんは、最終組の二人にとても良くしてくれました。エイドのポカリと、CP12でおばちゃんがくれたおにぎりで、最後の補給。(結果的には)最後となるパートへ向けて出発!
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CP14:Shing Mun Main Dam@151km 〜 CP15:Sha Tin Pass@163.5km

貯金も合わせて3時間で12.5km。正直言って、絶対行けると思ってました……
コース図CP15

距離は長いけど、ほとんどフラットだし行けるはず。いや、絶対行けると思ってました……
高低図CP15

青年ランナーとともに出発。英語がしゃべれないながらも、片言で日本のアニメが好きだと教えてくれる。UTMF、走ってみたいとも。再会できるといいんだけど。
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街の夜景を横目に見ながら、黙々と。ここまでは順調。
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ところが、MacLehose Trailを抜け、一度ロードに出たところ。本来は、少し進んでまたすぐにトレイルに入らなければ行けなかったらしい。でもここは、どれだけ探してもマーキングが見つからない。もちろんかなり慎重に探しましたよ。青年と悩みながらも、下っている高低図を信じて、そのまま「金山路」と案内のあるロードを、マーキングが見つかることを祈りながら下っていく。

レースを終えてから振り返ると、この時点でこのレース何度目かのロストが確定、DNFとの分岐点でした。

下っても下ってもマーキングはなく、不安ながらも下り切ったダムを道なりに渡り、大通りに突き当たる。ここでいよいよ進む方向が分からなくなり、完全にお手上げ。

仕方ないので大会スタッフに連絡して助けを求めるしかないかと思っていたところ。青年が誰かを電話で捕まえたと思ったら、どこからともなく知り合いらしい老ランナーが合流。道を知っているから付いて来い、と。

英語が話せる彼に状況を聞いてみると、本来のルートからはすでに外れているが、とにかく獅子山郊野公園に入ってWilson Trailに入れば本線に合流できると言う。ただし、時間的にはかなりチャレンジ。もちろん自分も完走したいから、行けるところまで行ってみようじゃないかと。

「We are on the same boat.」とか「You, hit the wall!」とか、なんかやたらかっこいい言い回しを使ってくる老ランナーだったが、この人のおかげで諦めかけた完走に向けて、最後の挑戦権を掴み(いや、もちろん正しいルートではないんですが)、完全にSWITCH ON。

あとどれだけの距離を走ればいいのか、皆目見当もつかない状態で、それでもなお全力で走り続けるだけ。残された時間が着実に減っていくのを一分一分確認しながらも、「絶対完走」という気持ちだけは最後の最後まで失われることなく、Hong Kong Night Trailをとことん満喫した最後の2時間でした。

Lion Rockの回りを全力で疾走しながら、CP15のCut-off Timeである22:00を迎え、37時間に及ぶレースが終了。まさか走りながらレースを終えることになるとは思わなかった。これで、2014年最大の目標だったUTMBのエントリー権獲得もならず…… どうにも消化できない悔しさとは裏腹に、ラストランはとにかく気持ちよく、ここまで160km走ってきたとは思えない動きで、Shatin Passまで走り続けました。

まあ、金三路を下ってしまった時点でコースを間違っているので、たとえ関門時刻に間に合っていたとしてもアウトなんですが。

結局、かなり大回りのコースを走り、30分遅れでCP15に到着。HK168、163.5km地点にてDNFとなりました。本当かどうか分かりませんが、GARMINによると累積標高9300m。いくらロストしたとはいえ、6580mのレースのはずなんですけど(笑)
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HK168(残り4.5km)リタイア記⑬総括へ続く。

HK168(残り4.5km)リタイア記⑪|5分前…7分前…関門をくぐり抜けて140km。

2014年11月末、8ヶ月連続ウルトラマラソン/トレイルチャレンジの最終章、「HK168」で香港に行ってきました!

結果は…全168kmのうちの163.5km地点、ゴール手前のCP15で関門時刻に間に合わずDNFとなりました。無念のリタイア記です。

前のエントリはこちらから。
HK168(残り4.5km)リタイア記⑩|自己最長110kmを超え、未知の領域に突入。 | reboot blog

CP11:Tai Lam Chung Reservoir Road@118km 〜 CP12:Rotary Club Park@130km

セクション3のラストパート。ドロップバッグの待つCP12(=CP8)へ戻る最後の12km、めちゃめちゃ長かった……
コース図CP12

高低図で見るより、ずっとつらいこのパート。
高低図CP12

というのもこのパート、12kmあるのに設定時間が2時間しかなく、セクション3に入ってから、ずっと焦って貯金を作り直していたのは、全てここのためでした……

何もないエイドをさっさと出て、暑いトレイルへ。背後では、このエイドでリタイア申告する人の声。エイドから中々出ようとしない他のランナーたちも、もうレースを終えたんでしょう。関門時刻から30分ほどのギリギリゾーンを走っていると、どのエイドもそんな状態。出ていく人より、そこでレースを終える人の方が多いという・・・
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高低図を見る限り、序盤はなんてことなさそうなのに、とんでもなくつらかった舗装路のアップダウン。しかも斜度がひどい。壁でしょ、壁。足柄峠の頂上付近、もしくは野辺山ウルトラの馬越峠を思い出す。
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この辺りですでに、先に出て行った何人ものランナーが次を諦めたことが分かるような走り方。

しばらく併走した二人組は、

「もう無理だって!この調子じゃどう考えても間に合わない。」
「私はそれでも行くわ!やってみなきゃわからないじゃない!」

みたいな会話を・・・「それでも行くわ」おばちゃん一人が、走ってしばらく付いてきましたが、途中で脱落。別の三人組も、無理を悟ったのか、公園内の地図を見てコースルートを外れて下山していきました。

CP8を最終ランナーとして出てからというもの、何人かは抜いてきたけど、おそらくその人たちは、次のエイドでレースを終えているはず。抜いても抜いても、常に最終ランナー。

起伏の激しい舗装路ゾーンを抜けると、CP12へ抜ける激登りが待ち受け。前を登る軽快な女子ランナーは、トレーニングで来てるらしい。香港のトレラン人口すごいな〜
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なが〜〜い激登り。
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登り切ったら走るだけ。いかんせん時間がない。

そもそも走力的にカツカツな上、すでに28時間130km近くも走っている体。前半の貯金にかけてたんだけどなーすってんてんだなー…… 基本的にはどのレースも、「宵越しの銭は持たない」系のギリギリランではありますが、今回はいよいよやばい。一瞬たりとも迷ってる暇はない。

いよいよエイドかというところで迷いかけたところ、CP12を出てきたらしいランナーを発見。とっつかまえて、「チェックポイントどっち!!???」と問い詰め、教えられた方に見覚えのある駐車場を発見して駆け込んだら、関門時刻の5分前…… やれやれ。
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(写真はドロップバッグ拾って、落ち着いてから撮ったので2分前の14:28)

まるでタスキをつないだ箱根ランナーの気分。これで次の区間も走れる。第13ランナーも自分だけど。

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CP4で、まさかのお湯切れで食べられなかった激辛ミーゴレンカップヌードルで復活にかける。一番きついと思っていたパートを抜けました!ようやく完走が見えてきた!!

CP12:Rotary Club Park@130km 〜 CP13:Shing Mun Pineapple Dam@141.5km

いよいよ最終のセクション4へ。
コース図CP13

ここも11.5kmで2時間と厳しいパート。一難去って、また一難。
高低図CP13

しかし、カップヌードルがめちゃめちゃうまい。これで息を吹き返した。でも辛い。めちゃめちゃ辛い。こんなもの、ランナーにくわしちゃいかんだろ。

ここでもレースを終えた人たちがすっかり寛いでいる中、5分前に駆け込んできて、なお先に進もうとするぼくに、ボランティアのおばちゃんがおにぎりをくれた。香港式なのか、力士が握り固めたような固さだけど。最後の40kmのお守りとして、背負ったままのザックに詰めてもらう。ゼッケンに付いている日本の国旗を見て「ガンバッテ!」と。エイドのおばちゃんは、どこの国であっても天使に見える。

結局ここでも最終ランナーとして出発。しかし、すぐに分岐に出くわし、マーキングがない。こんなんばっかだな。高低図に従って下ってる方を選ぶと道路に出たところでマーキング発見。もうロスってる時間ないからね。
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町の中を通過してトレイルへ入る。
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なぜだか最終ランナーとしてのプライドが芽生えてきた。激辛カップヌードルのおかげもあり、135kmを超えてもまだ走れる。全身、めっちゃ重いけど。体の感覚、もうほとんどないけど。
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下りに転じると残りは2kmほどのはず。間に合うかなあ〜転がり落ちるように下ってると…
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出た!CP13!!
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7分前に到着!危なかった……

日本語を使ってくれようとする親切なスタッフ。最後だから色々とかまってくれる(笑)インスタントスープを作ってもらい、おばちゃんにもらったおにぎりと一緒にいただき、夜に備えて補給!

HK168(残り4.5km)リタイア記⑫へ続く。

HK168(残り4.5km)リタイア記⑩|自己最長110kmを超え、未知の領域に突入。

2014年11月末、8ヶ月連続ウルトラマラソン/トレイルチャレンジの最終章、「HK168」で香港に行ってきました!

結果は…全168kmのうちの163.5km地点、ゴール手前のCP15で関門時刻に間に合わずDNFとなりました。無念のリタイア記です。

前のエントリはこちらから。
HK168(残り4.5km)リタイア記⑨|関門時刻7分前!ロストから奇跡の生還 ( o´Д` )=з | reboot blog

CP9:Tai Tong Shan Road@98.5km 〜 CP10:Kat Hing Bridge@108km

CP10までは、Tai Lam Chung Country Trailを走る9.5km。
コース図CP10

前のパートと同じ距離ですが、登りあり。しかもなぜかこの区間、2時間の設定…… 全く休めないorz
高低図CP10

CP9に着いたところで一旦ザックを下ろし、高速で態勢を整え直す。

腰に付けっぱなしだったライトを外し、充電パックをザックに収納し、ガーミン再始動。補給もロクに取ってなかったので、ドロップバッグからポケットに突っ込んできたベビースターを流し込み、走りながらでも摂りやすいグミを取り出しやすい位置にセット。IRONMAN JAPANのバイクで試してから愛用してます。

微妙な勾配の登り林道からスタート。気合い入れていきます。
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登りロードを、ゆっくりながらも走っていると、CP8手前でロストした時に一緒に道を探した中国女子ランナーが前を走っていたので、抜き際に声をかける。アイコンタクトで「あなたもレースに復帰できたのね、行けるとこまでがんばろう」と。言ってました、たぶん。

ロードから高速道路脇の山へ。
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香港は本当にどこにでも山があって、どこにでもトレイルがありますね。
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尾根沿いの、下っては登らせるパターン。見通しが利く分覚悟ができるので、目の前に急登が現れた時のようなダメージは少ない。景色は本当に素晴らしい。初日だったら最高なんですけど(笑)
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なんだかんだで100kmを通過。でも、残り時間がもう丸一日もないんだなと思うと焦ってしまう。あと70kmも走れんのかな。

CP10!あと6つ!!
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10:30が関門時間なので、ギリギリだと思ってたけど、なんと15分の貯金加算。走るところをきっちり走ってるからでしょうか。

ボランティアのお姉さんが、砂糖増量のミルクティーを作ってくれる。少しだけ時間に余裕ができて、一気に疲労感に襲われた体に染みる……

「あら、東京から来たの!ボランティア初めてだけど、応援するの楽しいわ!ガンバッテ!!」と。あ〜癒されるわ。

CP10:Kat Hing Bridge@108km 〜 CP11:Tai Lam Chung Reservoir Road@118km

セクション3もあと半分。MacLehose Trailを経由して、Tai Lam Chung Reservoirという貯水池(というより湖)を回ります。
コース図CP11

一旦登り一山超えたら湖の沿岸まで下り、あとは湖岸沿い。ここをクリアすれば累積標高が5000mを超えます。GARMIN見ると、すでに5900mぐらい登ってるんですけど、そんなにロストしてたかな〜もう笑うしかないな。
高低図CP11

こうして何度新しいトレイルに入ってきたか…… さすがに飽きてきた(笑)
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トレイル自体はめちゃくちゃ気持ちいい。
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再び気温が上がり、頭がぼーっとしてきた頃、気付いたら貯水池が見える高さまで登ってました…… このあたりで信越五岳で走った自己最長の110kmを通過。未知の領域へ突入。
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走れると少しだけ目が覚める。舗装路の長い下りを湖沿いまで。
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湖岸まで降りると観光客がたくさん。応援してくれるのが嬉しい。
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この湖岸は、マウンテンバイクの聖地?休日を楽しむライダーとたくさんすれ違う。バイク乗りたいわ。
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昼が近づき、あまりに暑い。通りすがりのグループが、25度以上あるらしいとの情報。聞かなきゃよかった。
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橋を渡るとそろそろエイドのはず。ところが、しばらく行っても出てこないので、またマーキングを見逃してるかもと、進んでは戻りを繰り返し、またタイムと残り少ないHPをロス。すっかりロスト恐怖症を患ってる模様。

疲れてる時ほど自分に自信が持てなくなる。15分ほどロス。かなり疲労してたのでゆっくりしたかったのに、このエイドには水しかなく、タイムロスしたことだしさっさと次へ。また貯金が30分を切る。
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HK168(残り4.5km)リタイア記⑪へ続く。