信越五岳トレイルランニングレース110km 2014 完走記⑫:最後にちょっとだけ真面目な話。相馬選手と「全力を尽くす」ということについて。

先週末の日曜日に参戦してきた信越五岳トレイルランニングレース110kmの完走記その12、完結編です。

これまでのエントリは、こちら。

信越五岳トレイルランニングレース110km 2014 完走記①:優しいレースではあったけど、易しいレースではなかった(゚Д゚;) | reboot blog

信越五岳トレイルランニングレース110km 2014 完走記②:スコット・ジュレクも登場!競技説明会&ウェルカムパーティー。 | reboot blog

信越五岳トレイルランニングレース110km 2014 完走記③:スタート@0km〜1A@18.5km。爽やか・フカフカ・重い脚。 | reboot blog

信越五岳トレイルランニングレース110km 2014 完走記④:1A〜2A 我慢の序盤戦、斑尾山。 | reboot blog

信越五岳トレイルランニングレース110km 2014 完走記⑤:2A~3A 序盤の中ボス袴岳&長ーいドロドロ下り。 | reboot blog

信越五岳トレイルランニングレース110km 2014 完走記⑥:3A~4A 灼熱の関川沿いでぐぐっと押し上げ。 | reboot blog

信越五岳トレイルランニングレース110km 2014 完走記⑦:4A~5A 激眠!睡魔と闘う霧の登りんどう&笹ヶ峰牧場。 | reboot blog

信越五岳トレイルランニングレース110km 2014 完走記⑧:5A~6A 暗闇と思考停止の黒姫登山。 | reboot blog

信越五岳トレイルランニングレース110km 2014 完走記⑨:6A~8A 星空・神社・鏡池。そこから先は記憶なし(´Д`。) | reboot blog

信越五岳トレイルランニングレース110km 2014 完走記⑩:8A〜最後の給水所 真夜中の瑪瑙山。 | reboot blog

信越五岳トレイルランニングレース110km 2014 完走記⑪:最後の給水所~ゴール~Award Party 完全燃焼でゴール。 | reboot blog

相馬剛選手のこと。

こうして信越五岳トレイルランニングレース110kmを何とか完走できたわけですが、8月のIRONMAN JAPAN 北海道に向けてがんばっていたあたりからのこの2ヶ月ほどで、何度か読み返していた文章があります。

日本を代表するトレイルランナーである、相馬剛選手の「2011 日本山岳耐久レースレポート」です。
【New-HALE】 テーピングニュース☆トピックス ブログ:相馬選手ハセツネ2011レースレポート

ご存知の方も多いと思いますが、相馬選手はこの信越五岳トレイルランニングレースの第1回大会から3連覇を成し遂げた選手。そして、自分も来月走ることになっている日本山岳耐久レース(いわゆる「ハセツネ」)で2007年/2011年を優勝、と名実ともに日本を代表するトレイルランナーです。

そしてその2011年のハセツネで、奥宮俊佑選手との死闘を制して優勝した際の手記が上のレースレポートです。

それほど長くない文章ですが、印象的な言葉がいくつもあります。

全力を尽くすということ。

中でも最も共感し、ことあるごとに思い出すのがこちらです。


「全力を尽くすことは唯一、確かなものとして自分の中に残る。」

相馬選手にとっての全力と同じレベルで自分ができているとは思えませんが、それでも自分なりにIRONMANで追い込み続け、信越五岳で心身ともに空っぽになりながらも完走までこぎ着けることができたのは、この言葉がずっと頭の片隅に居座っていたこともあったと思います。

今年の4月から毎月ウルトラマラソン・ウルトラトレイルレースを走ってきて、完走であったり、設定したタイムであったり、それぞれのレースで、それぞれの目標があるわけですが、そういうものは全て自分の全力を引き出すための方法でしかなく、実のところ毎回のレースで追求しているのは、「どこまで自分の全力に近づけたかについての自己ベストを更新すること」であると感じるようになってきました。そして、その記録更新を認定することができるのは、自分しかいないんだ、と。

今年の6月に走った奥久慈トレイル50Kは、とても充実したレースになりました。それはきっと、ラン人生初めてのDNFという結果にも関わらず、「全力を尽くせたか?」という評価軸において極めて高いパフォーマンスだったからだろうと思うのです。

その点では、同じく6月にDNFとなったサロマ湖100kmウルトラマラソンは、結果は同じでも全く意味合いが異なります。

全力を尽くし、なお完走に届かなかった奥久慈は、めちゃめちゃ辛かったけど今思えば楽しかった。全力を出し切る前に終わってしまったサロマ湖ウルトラは、ただただ悔しかった。全力を尽くすということについて考え始めるきっかけとなった、対照的な2つのレースでした。

相馬選手はこんな風にも言っています。

 「『もう走りたくない』そう思ってゴールできることが一番の幸せなんだろう。」

ただ単につらいから止めたいということではなく、ゴールという客観的基準での達成を果たす中で、「もう走りたくない」というレベルまで力を出し尽くすということ。これがあるべき姿なんだろうと思います。

もう一度、相馬剛選手のこと。

そんな相馬選手ですが今年、2014年7月に行われたアイガーウルトラトレイル2014に出場、101kmの部で11位という成績を残したあと訪れたマッターホルンの登山中に遭難し、いまだ発見されていません。

このレースレポートを読んで以来、一度でいいからこれを書かれた相馬選手と同じレースを走りたい、相馬選手が走っている姿を自分の目で見てみたい、と思っていたのでとても衝撃的なニュースでした。

ハセツネでも優勝を争い、アイガーウルトラトレイルも一緒に走られたライバル奥宮選手が、相馬選手の捜索・ご家族のサポートなどを目的とした後援会を立ち上げられました。こちらから募金が可能です。相馬選手の一刻も早い発見を心より願っています。

最後にもう一つ、相馬選手の言葉から。

「私達、アマチュアのアスリートは、多くのことと折り合いをつけながら競技を続けている。それは当たり前のことだし、そのことを恨めしく思うことはないのだが、時々、それを言い訳にしそうになる自分がたまらなく嫌だ。」

相馬さんですら、こんな時があったんだなあと思うと少し親近感が湧きますね。そうそう、みんな本当に多くのことと折り合いをつけながら走っているんです。これを読んで、ついつい言い訳したくなる自分に喝を入れています。

さて、10月のウルトラチャレンジは、いよいよこの手記が書かれた舞台であるハセツネです。信越五岳で負ったアキレス腱炎が完治しませんが・・・どんな状態であっても、”全力”の自己ベストは更新できますからね。最後までできることを頑張りたいと思います!

「信越五岳トレイルランニングレース完走記」おわり。

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