“ラン大学”で学んだことシリーズです。
2014年の年間テーマは、
「身体を通して学び、学んだことを身体知化する」
でございました。走ることを通して、身体を通して、学んで、消化して、吸収して、自分の血肉にしようということで。
そういうわけで、タイトルの”ラン大学”は<ランニングについて学ぶ大学>ではなく、<ランニングを通して学ぶ大学>の意。走ることを通して学んだことを、順不同&不定期で書いていきます。
このシリーズを書き始めた経緯についてはこちらから。
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“ラン大学”で学んだことシリーズ|(3)「火事場」は自分でこしらえる。 | reboot blog
の続きです。
全力を出すための訓練のステップ
繰り返しになりますが、全力を引き出すのは簡単なことではありません。そもそも、力を出し切るのは「安全圏にいたい」という生存本能と逆の方に振り切る作業ですから。
ちゃんとそのための訓練をしなければ、
① がんばる!
② できる限りがんばった結果を「全力」と錯覚
の2ステップで終わりです。そして、それは全力ではありません。
ですので、まずは全力を出さざるを得ない状況に飛び込むことが必要。そんな状況を自ら設定することが必要という話です。普通の生活をしている限り、そういう状況に遭遇することは、ほとんどありませんから。
というわけで、全力訓練のために取るべきステップは、
① 計画的に「火事場」を用意
② 用意した「火事場」に飛び込む
③ 「火事場」で「クソ力」を強制的に引き出す
④ 「クソ力」の感覚を心身に覚え込ませる
⑤ 「クソ力」感覚に至る方法を試行錯誤する
の5つです。
「全力というのはこういうことか」という感覚を自分の中に作った上で、それを頼りに色々試しながら答え合わせしていくという地道な作業です……きれいに解ける方程式じゃないですから、変数に一個ずつ数字を入れていくしかないっす。
「全力でがんばれ」という前に
子どもの頃、学校の先生が「全力でがんばれ!」とよく言っていましたが、今思えばとても空虚です。そんなかけ声で全力が出せたら苦労しないんだから。
それよりも、「あの時のことを思い出せ!」と言えるような、火事場経験を用意してあげることの方が、よっぽど大事な先生の仕事なんじゃないかと。全力を出さないとクリアできないような課題と環境とサポートを与えるべきなんじゃないかと思います。中身なんて何でもいいじゃないですか。
そういう役割を(意図してるかどうかは別にして)担っているのが部活だったりするんだろうし、ガチの体育会系の人が社会に出てからもハイパフォーマーであるのは、こういったことも関係しているんじゃないでしょうか。
大人の部活をやろう
話を戻しますが、5つのプロセスの中で一番難しいのが①「火事場」の用意です。はなから諦めてしまうレベルであってもダメ。余力を残しても成し遂げられるようなレベルでもダメ。
目標設定にまつわる議論でよく言われている「ストレッチターゲット」のもっと上、頭のネジが飛んでないと踏み込めないぐらいのところを突かないとダメです。
ただ、こういうレベルを攻めるのはリスクが伴うので、仕事や本業では難しいかもしれません。そういう時こそ大人の部活をやりましょう。大人の部活で全力の出し方を覚え、その全力を仕事にぶつけましょう。
そして、この目的で大人の部活をやるのであれば、ランは最適な対象と言えます。ランはとても「火事場」を作りやすい。ギリギリの全力をタイムで引き出してもいいし、距離で引き出してもいいし、登ったり下ったりで引き出してもいい。人それぞれ、自分に合った方法でギリギリを攻めやすいです。
ぼくが完走ギリギリレースを選んで走っているのも、全力に迫ることができそうだからだし、制限時間ギリギリだろうとDNFだろうと、失うものは何もないからです。強いていえばエントリー費とつまんないプライドぐらいのもの。体はボロボロになりますが、そもそも健康のために走っているわけじゃないですしね〜
【仮説】全力が出せたときの指標は「感謝の心」
最後に、「クソ力」を発揮している時について、一つ仮説を。
「火事場のクソ力」の時どんな状態なのかは人によって違うと思いますが、自分自身の感覚からいえば本当に全力を振り絞っている時には、ドヤ感など全くなく、なぜか感謝の気持ちしか湧いてこない状態になります。
もしかすると、自分の実力以上のものが、目に見えない力によって引き出されたかのように感じているからかもしれません。なんだか急にスピリチュアルな話でごめんなさい。
ひねくれた性格の自分ですら、白山・白川郷100kmウルトラマラソンのあとのブログなんかを見ると、感謝の気持ちが素直に綴られております…… もちろん、今振り返ってみても、嘘偽りのない感情。本当はいつでも感謝の気持ちに包まれているような人間になりたいものですが。
“ラン大学”で学んだこと(4)
「火事場のクソ力」訓練で、全力感覚を強制的に叩き込もう。
訓練の場が必要なら、大人の部活をやろう。