先週末の日曜日、10月12日に第22回日本山岳耐久レース(通称”ハセツネCUP”)に初参戦してきました!
日本山岳耐久レース 71.5km
日本山岳耐久レースは、今年で22回を数える、日本のトレイルランレースの伝統的な大会。フルマラソンも走れなかった頃から知っていた大会であり、いつか走ってみたい(けど話を聞くと、とんでもない!)と思っていた大会でもあります。
だから今回は、いよいよ自分が走れることになって感慨深いものがありました……ハセツネじゃなかったら、信越で発症して完治しなかったアキレス腱炎を押してまで走ることはなかったかもしれません。
ちなみにこのレース、「ハセツネCUP」の愛称で親しまれていますが、これはソロクライマーとしてヨーロッパアルプス三大北壁冬季単独初登攀や南米アコンカグア南壁冬季単独初登攀など数々の記録を達成した世界的クライマー長谷川恒男の業績を讃え、その名を冠した大会となっています。
信越五岳トレイルランニングレースと対照的だったハセツネ
レースの特徴はというと、
・東京都あきるの市武蔵五日市を起点に、奥多摩山域をぐるっと時計回りに一周する71.5km
・累積標高は4670m
・13時スタートで制限時間は24時間
・エイドは一か所で、1.5Lの水分補給のみ
ということで、71.5kmという距離だけ見ると、ウルトラトレイルを走り慣れている人からすると「まあまあの距離」程度かもしれません。が、実際走ってみると、「ハセツネ、ごっつキツイやん!」でした。キツいキツいとは聞いていましたが、距離だけで判断してはいけません。
直近で走ったのが信越五岳なので、ついつい比較してしまうんですが、この二つは全く対照的でした。
●走れないハセツネ
全体的に走れるコースだった信越五岳と比べると、ハセツネは全然走れないコースでした。もちろん、走れないのは自分の走力のなさではありますが……
最後の数kmを除いて林道もほとんどないし、トレイルは気持ちよく走れるような箇所は数えるほどしかなく、執拗なアップダウンが続きます。かなり、性格悪い系のコースです(笑)
10時間半かけて37kmしか進めずDNFとなった奥久慈の悪夢を思い出しました。
実際、ハセツネ第2関門の月夜見山では、10時間42分で実測約39km(マップ上は42km)と、ほぼ同じ所要時間でした。いやーキツかった……
●エイドがないハセツネ
上述の通り、ハセツネはエイドが第2関門の月夜見山第2駐車場の一か所しかありません。しかも、水分補給のみ。水かポカリかは選べても、食べ物は何一つございません。つまり、第2関門@42km地点までの水分と、全71.5km分の補給食は全て自分で担いで走らなければいけない設定です。
しかし、それもそのはず。このレースの位置付けについての説明をご覧ください。
ヒマラヤではファイナルキャンプよりアタックするとき、頂上を極めてからアタックキャンプに帰還するまで、昼夜にわたることがしばしばあります。これを私たちのふるさと東京の山におけるトレーニングの一環として、ヒマラヤを目指す若いクライマーの登竜門として、この『日本山岳耐久レース』を位置づけていきます。
(Source: Official Web Site「ハセツネとは」)
って、ヒマラヤ目指してませんから……
この説明からすると、エイドが一か所あって水分補給できるだけでもありがたいと言わざるを得ません。信越五岳のオアシスのようなエイドが、もはや思い出の世界です。冷やしトマトと戸隠そば、うまかったなぁ。
●夜走らせるハセツネ
この距離の大会で昼のスタートはかなり珍しいと思いますが、ハセツネは13時スタート。もちろん理由は上の通り。ヒマラヤではファイナルキャンプから頂上を極めて再びキャンプに戻るまで昼夜に渡ることがしばしばあるのです!
だから、ヒマラヤ目指してないってば……
つまり、これは完全に夜走りなさいという設定。日曜のレースなんだし、他の大会と同じように早朝スタートにすれば、夜パートは減るんですから。
同じナイトトレイルといっても、信越五岳が”成り行きまかせの夜更かし”レベルであるのに対し、ハセツネは”完全覚悟の徹夜”を要求されます。少なくても、当日中に帰れるSub10ランナー以外は、夜パートの方が長くなる非常にタフなレースです。
水分や補給食に加え、夜パートのためのライトやらアクティブシェルやらを合わせると、携行する荷物も結構な重量になります。おそらく過去に走ったレースの中で、荷物は最も重かったと思われます。
やっぱり「山岳耐久レース」だった
そんなわけで、信越五岳より40kmも短いのに、負けず劣らずタフだったハセツネです。
信越五岳が「トレイルランニングレース」で、ハセツネが「山岳耐久レース」である意味が、走ってみてよく分かりました。これから走るみなさん、ハセツネはトレランではありません、山岳耐久レースです。ヒマラヤはそうそう走れないし、エイドもないし、明るいうちに帰ってこれるとは限らないのです。そのための訓練のつもりで臨みましょう!
「第22回 日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記②」へ続く。