初トライアスロンを終えて②:トライアスロンにまつわるウソ・ホント。

初めてのトライアスロンから一夜明け、体はもちろんバキバキの筋肉痛ですが、気持ちの方は少し落ち着いてきて、「トライアスリート」の仲間入りをしたという感慨がじわじわと湧いてきてます。

今日は、事前に読み聞きしていたトライアスロンにまつわるあれこれの中から、「話が違うじゃないか…」とレース中に痛感したことを。

これからトライアスロンを始めようという方には、ド素人目線の情報として何かの参考になるといいんですが。ただし、検証回数はたったの一回。トライアスリートとしてもっと成長した暁には、全く同じこと言ってるかもしれませんが(笑)

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レース前の会場の様子。バーに自転車をかけるところがトライアスロン感あります。

トライアスロンの嘘①:「フルマラソンより楽」

フルマラソンとトライアスロンを両方経験されている方からは本当によく聞く話。100kmウルトラマラソンを走れるぐらいなら、アイアンマンもきっと走れるとも言われます。 

トライアスロンは負荷が分散する

どうも理屈的には、同じ動きをひたすら続けるマラソンより、スイム・バイク・ランとメインで使う筋肉が異なるトライアスロンの方が、負荷も分散して体にもやさしいということらしいです。

でも、やってることは全て一流の耐久系競技。トライアスロンという競技は、この三種目のうちどれが一番つらいか決めるために、全部一緒にやってみようぜってことで始まったという話は本当かどうか知りませんが、少なくても今の自分には、種目に応じてうまく使う力を分散するなんてことはできません。三種目とも全身全霊をかけてやります(だから疲れるのか!)。

その証拠に、トレイルでもウルトラでも沈黙していた古傷の左腸脛靭帯炎が、この度復活しました。右はかなりケアしてたんですけどね。その反動かな・・・来週末のトレイルランが走れるか、かなり不安です。

トライアスロンは競技時間が短い

それから、トライアスロンの標準的な距離らしいOD(オリンピック・ディスタンス、スイム・バイク・ランの合計が51.5km)の場合は、ちゃんと練習している人であれば競技時間が大体2~3時間台で、フルマラソンの3~4時間台と比べると短いというのも理由の一つらしいです。

でも、騙されてはいけません。運動が楽か楽じゃないかを決めるのは、「強度×時間」です。強度が違います、トライアスロンは。

マラソンだと、最初の数キロ以外は、すぐにリラックスして楽に走れるようになります。そうしないとこれから先の長い距離がもたないということが分かっているからですね。

一方、トライアスロンは三種目に別れている分、それぞれの種目をそれなりに頑張ろうとしてしまいがち。そもそも、競技時間が短いということは、それだけスピードを上げるってことなので強度は自然に高まるものです。

同じ意味で私は、100kmよりフルマラソンの方が楽とは思わないし、フルマラソンよりハーフの方が楽とも思いません(ハーフは出たことないから想像ですが)。

だから、トライアスリートが言う「フルマラソンより楽」と言う本当の理由は、心理的なハードルを下げて、少しでもトライアスロンにチャレンジしやすくなるようにという、優しさなのではないかと思っています。

トライアスロンの嘘②:「スイムはウェットスーツがあるから何とかなる」


スイムにまつわる話は、初心者的にはウソが多い気がします。その代表格がこれ。ウェットスーツを着ていると浮くというのは本当で、最新のウェットスーツのおかげで、たしかに助けられているはず。

でも、結果としては全然何ともならんかったです。本気で生命の危機を感じました。酸素ボンベ背負ってたら何とかなるというなら説得力あるんですが。

着てないより着てる方がはるかに楽に泳げるけど、だからといってそれを自分の泳力と過信するのは大間違いです。以前受けたスイムのコーチが「ウェットスーツに頼らず、裸でも海で泳げるようになりなさい」と言っていた意味がよく分かりました。

それから、「女子走りで波の抵抗を避けながら進み、ドルフィン・スルーでいち早く泳ぎだすべし」というのもド素人的にはウソです。

よく分からないまま行ってみたオープン・ウォーター・スイミング講習会なるもので、最初にならったのがドルフィン・スルーという技術。

習った当初はよく分からなかったので、みんな使うものだと思ってたんですが、こんなことしたら心拍上がって仕方ないです。

一分一秒を争うエリートならともなく、少なくても一戦目の自分には必要ありませんでした。むしろ、この後に起きることを考えたら、落ち着くために腰まで使って30秒ぐらい数えてもよかったぐらいです。本当にやってたら棄権と見なされてたかもしれませんが…

それから、これはトライアスロンにまつわるというより、生物の進化にまつわるもっと大きな話ですが、「人間は海から生まれたから、海は人間の故郷。恐れることはない」という高尚な励まし。

前日乗ったタクシーの運転手さんにも似たようなことを教えてくれ、だから海で泳ぐと癒されて回復するんだそうですよ。沖縄は海に囲まれてるのに、泳げる人は少ないらしいですけどね。

たしかに「母なる海」と言うし、生物としてのルーツにまで遡れば嘘ではないんでしょうが、いざレースが始まって実際に海を泳いでみると、母どころかアウェー感しかなかったです。

遠くで見守ってくれているであろうライフガードのみなさんはいるものの、基本的には自分の身を守るのは自分しかいません。呼吸を確保するのが精一杯で、タイムはおろかまっすぐ進むことすら早々に諦めました。

でも、散々厳しい仕打ちをしておいて、生きて陸に上げてくれたんだから、やっぱり海は母なのかもしれないです。その厳しさも含めて。

トライアスロンの嘘③:「バイクで補給して、ランで勝負する」

スイム中は、水も食べ物も補給することができません。水については、嫌というほど海水飲んでますけどね。スイムのあとのバイクへのトランジションで補給してもいいんですが、時間がもったいないのでほとんどの人がさっさと出て行って、バイクをこぎながら補給をしているようです。

これは師匠から聞いていましたし、前日の練習中にたまたま声をかけていただいたアイアンマンの方にも、「バイクの補給が大事だよ。乗ってる間にとにかくしっかり補給すること。そうしたらランで勝負できるから!」と改めてアドバイスをいただいたので、もちろん実行しました。

ただでさえ慣れないバイクを片手で操作しながら、おそらく海水によってダメージを受けた食道に、無理やり水やらエネルギージェルやらを流し込んで補給したのに、いざバイクを降りてみたら、勝負もくそもないほど体が重いじゃないですか…

ランが始まっても最初の3kmぐらいは野球部がタイヤを引きながら走るのってこんな感覚なんだろうなというのを疑似体験していました。

すべての小学生にトライアスロンをやらせて、バイクからランのトランジションを経験させれば、教科書で教えなくても重力の存在を一瞬で理解すると思う。

***

とまあ、色々勝手な解釈で「話が違うやないか」という憤懣をぶつけてみたんですが、実はどれも、単なる自分の力不足だということは自覚しております。そして、これらはトライアスリートの師匠・先輩方からの温かい励ましの言葉であることも。

最後に、

嘘でもあり本当のこと:「腕にマジックで番号書いてもらうのがカッコいい」

これは本当です。なぜか分かりませんが気持ちが昂ぶります。トライアスリートっぽいからかな。

ただし、今回はウェットスーツが長袖だったので、その場合は手の甲に番号を書いてもらうことになります。カッコいいから、意味もなく腕にも書いてもらいましたけどね。本当は師匠のように、身体が黒すぎて、マジックの数字が識別できないぐらいの方がカッコいいです。

でも今日になって気付いたのは、会場にいるときはかっこいいと思っていたのに、翌日一人で私服になってみると(洗っても落ちないんですけど)、手に書かれた番号が捕われの身にでもなった気分でイマイチです。

今日から出張でロンドンに来ているんですが、まさか手に番号が書かれた状態でロンドン入りすることになるなんて! 通関で問い詰められたら「Because I’m a triathlete.」と答えるところでした。

あのナンバリングは、その日のうちだけ効果が持続する魔法みたいなもんなんでしょうね。次のエントリからようやく(?)体験記としてレースを振り返ってみたいと思います。

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