先週末に参加した第20回八ヶ岳野辺山高原100kmウルトラマラソンの完走記その7です。
これまでのエントリは、こちら。
第20回八ヶ岳野辺山高原100kmウルトラマラソン(また超ギリ)完走記① | reboot blog
第20回八ヶ岳野辺山高原100kmウルトラマラソン(また超ギリ)完走記② | reboot blog
第20回八ヶ岳野辺山高原100kmウルトラマラソン(また超ギリ)完走記③ | reboot blog
第20回八ヶ岳野辺山高原100kmウルトラマラソン(また超ギリ)完走記④ | reboot blog
第20回八ヶ岳野辺山高原100kmウルトラマラソン(また超ギリ)完走記⑤ | reboot blog
第20回八ヶ岳野辺山高原100kmウルトラマラソン(また超ギリ)完走記⑥ | reboot blog
馬越峠頂上@79km地点~82kmエイド
下のコース図と高低図を見ていただければ分かるように、79km地点でピークを迎える馬越峠は、後半最大の難所です。ようやくここを越え、下ってスタート地点へ戻ります。あとは時間との闘い…
残り21kmを3時間ということは、1km当たり8分半で走り続ければ間に合うというスピード。普段であれば、LSDよりも遅いペースなので余裕のはずなんですが、もう80km走っている上、どこでヒザが限界を迎えるか分かりません。
さすがに痛み止めの効きも悪くなってきたようで、頂上でもう一錠ロキソニンを投入。絶対マネしない方がいいと思いますが、後から痛くなると手遅れになるので、後悔しないことを優先。
ここからは一気に下ります。北相木村へ向かう折り返し道、56km地点ですれ違ったK兄さんが前を走っていると思って、先を急ぎます。歩いてもゴールできる距離と時間まで早くたどりつかないと、今日のヒザはかなり悪いっす。
同じタイミングで峠を越えた関西から来たと思われるおじさんと、「やっと越えましたね~」「もう坂ないよな!?~あの登り、ほんま最悪やったな〜」と談笑。元気をもらって勢いよく下りに入ります。
登りの時は登りが一番つらく感じますが、下りの時は下りが一番つらいもの。着地するごとに体全体を受け止める前腿が破壊され、脚に力が入らなくなっていきます…
それでも5分台/kmペースで、転がり落ちるように走っていると、赤いチームTシャツを発見。K兄さん!!! 82kmのエイドでようやくチーム内で先頭を走っていたK兄さんに追いつきました。
82kmエイド~87kmドロップバッグポイント
ここからは兄さんと併走。里に下る、思いの外長い下りを一緒に飛ばします。里山の風景が美しい。こういうコース好きです。
しかし、この下りは永遠に続くのかと思うぐらい長く、兄さんと一緒じゃなかったら、油断してペース落とした結果、制限時間に間に合わないということにもなりかねないぐらい長かった〜兄さんが一緒で本当によかったっす。
峠走の練習だったら、本当に気持ちのいいコースなんですがね。
下り切ると川沿いののどかな道。最後のドロップバッグが待っていることを心の支えに我慢して進みます。(高低図ではうっすら登っている)最後の10kmのために、時間を稼いでおかなければと、肩で息をするぐらいのスピードで。やっぱり、一人だったら絶対ここまで追い込めないな。
ドロップバッグに入っているベビースターもうまい棒も、チャレンジ富士五湖に続きメンバー入りしていたピーナッツコッペパンも、もはや口にする気力はないけれど、それでもドロップバッグが待っててくれるのは気持ち的にありがたいです。
最後の関門でもある87km地点を、12時間ちょうどくらいで通過。うどんで補給をして、最後の区間に臨みます!もちろんロキソニンも忘れずに。残りはわずか13km。されど13km。
87kmドロップバッグポイント~ゴール
ここからは、日が沈む道をゴールに向けて、時計をにらみつつ淡々と進みます。今、ここを走っている人は、全員が完走を目指しているはず。ダラダラと歩く人はおらず、みんなゆっくりでも我慢強く走っていて、なんか泣けてきます…
あー長い。最悪のヒザに働いてもらいながら、ここまで来れただけですでに胸いっぱいなんですが、簡単にはゴールさせてくれませんね。やっぱり100km長いっす。7:00/km前後で走り続けるんですが、90kmすぎてから、気持ちばかりが先行して全然距離が伸びません。好きな子にメールして返信を待っている時のようにGPSウォッチをちらちら見てるのに、全然距離のメーターが変わらない。
一緒に走っているK兄さんはといえば、一切気の緩みはない様子。
商社の第一線で活躍するビジネスマンとしての仕事ぶり(直接は知りませんが様子から察するに)や家庭への配慮、トライアスロン挑戦と並行して進めてきたウルトラへの準備と、つねに盤石の積み上げを遂行する兄さんには、人生の先輩として多くのことを学ばせていただいています。
いよいよ、残り3kmの表示が。ゴール地点が近いのか、ゴールする人を迎えるアナウンスと歓声が聞こえるんですが、そこまでは3kmほどかけて大きくぐるっと回らなければいけないコースのようで。
距離調整かもしれませんが、ゴール付近での迂回は精神的ダメージが大きいです(笑)
何はともあれ残り3km。K兄さんに「やりましたね!」と声をかけるも、「最後まで!」と気を緩めることはありません。盤石です。詰ませたことを確信しても、相手が「参りました」というまでは気を抜かないタイプです。
大きく回り、また徐々に歓声が大きくなり、それとともに観客も増えてきました。スタートした野辺山駅を見つけ、「戻ってきた!」と思った瞬間、ゴールゲートが目に入りました。
ここまできてようやく、兄さんと完走の喜びを噛みしめ、肩を組んでゴールに飛び込みます。
長い長い闘いになりましたが、制限時間の10分前、兄さんと肩を組んでゴ~~~~ル。
いやー、疲れました。肉体的に追い込まれたというより、完走できるかどうかの瀬戸際での精神的葛藤が本当に長かったです…兄さん、初100km完走おめでとうございます!
ゴールその後
しかし、このレース、まだ終わりません。
残り10分で後ろを走っている仲間たち4人が戻ってくることを祈り、ゴールで付近で待ちます。
残り3分を切り、さすがに厳しかったか・・・と思った瞬間、知ってる風の名前が立て続けにアナウンスされる。よく考えると、ふだんは通称でしか呼び合っていないので、本名がよく分からない。でもたぶん聞いたことある名前だから間違いないはず。
「うおー、戻ってきた!」
興奮してゴール前に出て待ち構えていると、羅王選手・神熊選手の巨体と、そのすぐ後ろに小僧選手の姿が!ゴール前で抱き合い、みんなで号泣ののち、ゴールを見届けます。ちゃんと帰ってきたよ〜〜〜みんなすごいっすすごいっすすごいっす(泣) なんか自分のゴールより嬉しい…
ゴールその後のその後
しかし、このレース、まだ終わりません。ハラル選手が戻って来てません。
制限時間である14時間が無情にも経過。途中、OPP(おなかのアクシデント)に苦しんでいたハラル選手は59kmのドロップバッグポイントで会ったのが最後なので、その後どうなっているのか…
71kmの関門か、79km馬越峠の頂上関門か、87kmの関門か。
どこかでつかまったか、リタイアしてバスで戻ってきているのだろうか。
色々と想像をしてみても確かめる方法もなく右往左往していると、ゴール付近で崩れ落ちているハラル選手を仲間が発見!
「うおー、戻ってきた!」
ハラル選手、残念ながら5分だけ、制限時間に間に合わず。でも、本当によくがんばった。最後まで走り切ったことに感動です。ゴールテープがなくても、完走メダルがなくても、最後まで走り切った事実は変わりません。
本人は、さぞ悔しいことでしょう。素直には喜べないかもしれません。でも、仲間としては賞賛を惜しむ理由はどこにもありません。
こうして仲間たち全員が、約束通り野辺山の100kmを走り切り、休む間もなく30分後の新宿行き最終バスに乗せられて、汗だくのまま帰路についたのでした。
(総括につづく。次が最後です。)