死ぬまでに一度は走ってみたいレースシリーズ①|TJAR(Trans Japan Alps Race) <後編>

10月19日の日曜日、東京代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターで開催された、「TJAR2014」報告会に参加してきました。

これまでのエントリはこちら。
死ぬまでに一度は走ってみたいレースシリーズ①|TJAR(Trans Japan Alps Race) <前編> | reboot blog
死ぬまでに一度は走ってみたいレースシリーズ①|TJAR(Trans Japan Alps Race) <中編> | reboot blog

「TJAR2014」報告会の続きですが、今回は大学の調査研究も入っていたようで、そちらの報告もとても参考になりました。

TJAR完走のためには

いくつかの提言がなされていたんですが、「一日あたり5600〜6300kcal」の摂取が必要で、それを8日間続けるって、どれだけタフなことしてるんでしょうね…… 成人の摂取カロリーの目安は2000kcal前後なので、実に3倍。
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大会の参加要件ではないですが、完走者のアンケートや測定結果を分析した参加レベルの目安は、

・100kmウルトラマラソン Sub10レベル
・ハセツネ 10時間30分レベル
・月間走行距離250km以上
・その上で、十分な山行経験

とのこと。ハセツネを走った後だからこそ分かる、このレベルの高さ……

おそらくこの走力レベルは大前提で、さらに重要なのは最後の「十分な山行経験」なんでしょうね。ちなみに、アンケートの分析によると、上位者ほど富士登山競争やハセツネなどの山岳レースの完走数が多いらしい。というわけで、ハセツネ参戦を続けようというのは間違った方向ではないようで。

●TJAR2014レース概要

報告会の様子で、レースの過酷さは十分伝わってきてますが、一応レースの概要を整理しておきます。

・総走行距離:415km
(スタート:日本海/富山県魚津市・早月川河口→ゴール:太平洋/静岡県静岡市・大浜海岸)
・累積標高:28000m
・制限時間:8日間
・平均総消費カロリー:49000kcal(脂肪7kg分)

●参加要件

・過去70Km以上のトレイルランニングレースを完走している事
 ↑DONE。

・過去標高2000m以上の場所において10泊以上の露営経験がある事
↑もちろん一泊もなし。

・TJAR本大会を想定した長時間(概ねコースタイム15時間以上)行動後、標高2,000m以上の場所において、4回以上の*¹ビバーク体験があること。
↑もちろん一泊もなし。

・山岳保険(捜索、救助等を含む)に、必ず加入していること。
 ↑DONE。

・リスクマネジメント(危機管理)に対して
①事前にリスクを回避する《危険回避能力》
②アクシデント発生時に対応できる《事故対応能力》を身につけていること。
 ↑これから頑張ります。

・自己責任の法則・・・「すべての責任は、自らに帰する」ことを自覚して行動できること。
 ↑了解です(トレイルもトライアスロンもその覚悟でやっております)。

・心身ともに異常なきことが証明できる医師診断書、もしくは人間ドッグ結果報告書を参加確認書と同時に提出すること。
 ↑了解です。

・選考会開催日において20歳以上であること。
 ↑DONE。

・日本語堪能であり通常の会話もしくは読み書きのできること。
 ↑たぶんOK。

・配偶者または一親等の成人親族による大会参加に対する承諾書を提出すること。
 ↑了解です。

・2014年7月14日(月)必着で、消防署等の主催する救命入門講習もしくは救命講習(AEDを含む心肺蘇生法)の修了証明書のコピーを提出すること。
 ↑これから頑張ります。

・1日に、コースタイム20時間以上の山岳トレイルコースを、コースタイムの55%以下のタイムで走りきれる体力と全身持久力を有すること。注:昭文社「山と高原地図」などのコースタイムを参考値として提示のこと。(必須ではないが、書類選考における参考条件)
 ↑「山と高原地図」は購入済み。体力と全身持久力は……

・フルマラソンを3時間20分以内、あるいは100kmマラソンを10時間30分以内に完走できる体力を有すること。(必須ではないが、書類選考における参考条件)
 ↑まだ遠いけど、頑張ります。

要件自体がすでに過酷なんですが…… レースの過酷さがよく分かります。

●TJARまでの逆算計画(仮)

なお、このエントリのタイトルは「死ぬまでに一度は走ってみたいレースシリーズ」ですが、「いつかは……」なんて言っていたら、そんな「いつか」は永遠にやって来ないのが世の理です。

ですので、仮の日付を付けておくこととします。距離感を測るためにもね。

・【予定】2018年8月 TJAR初出場&初完走【予定】
・【予定】2018年選考会
・【予定】2018年 春夏 十分な山行経験
・【予定】2017年 10月 4度目のハセツネをSub10で完走
・【予定】2017年 100kmウルトラマラソンをSub10で完走
・【予定】2016年 10月 TJAR2016報告会に参加し、いよいよ本気になる
・【予定】2016年 10月 3度目のハセツネをSub12で完走
・【予定】2016年 春夏 ビバークとか一通りできるように
・【予定】2016年 100kmウルトラマラソンをSub11で完走
・【予定】2015年 10月 2度目のハセツネをSub15で完走
・【予定】2015年 春夏 山登り基礎
・【予定】2015年 100kmウルトラマラソンをSub12で完走
・2014年10月19日 TJAR2014報告会に参加
・2014年10月12日 ハセツネ初参戦 17時間41分で完走

こんな適当な計画でも、どれだけ遠いところにあるのかよく分かります……選考会を通るだけでも大変だし。

しかしまあ、やりたいことがいっぱいある人生って幸せですね。また一つ、未来の楽しみが増えました。

死ぬまでに一度は走ってみたいレースシリーズ①|TJAR(Trans Japan Alps Race) <中編>

10月19日の日曜日、東京代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターで開催された、「TJAR2014」報告会に参加してきました。

これまでのエントリはこちら。

死ぬまでに一度は走ってみたいレースシリーズ①|TJAR(Trans Japan Alps Race) <前編> | reboot blog



「TJAR2014」報告会

報告会の様子ですが、150名の会場が満席でした。みなさん、2014出場者の関係者か、次回以降の参戦を考えている人たちでしょうか。そういえば、会場全体から、山屋特有の精神的屈強オーラが漂っている気がしてきました。

前回大会の模様がNHKで放送され関心が高まり、「この2年でTJARを取り巻く環境は大きく変わった」と実行委員代表の飯島さんが、挨拶の中でおっしゃってました。そんな放送あったのか……知らなかった。誰か持ってないかな。

報告会の内容はこんな感じ。

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まずは、三連覇の望月選手の優勝者スピーチから。

二年に一度開催のこの大会で三連覇ということは、この5~6年ずっとトップに立ち続けているということ……しかも、2014のタイムが、2位に16時間ほど差をつけての5日12時間57分と、圧倒的です。今は完走することすら想像の外なので、完全に雲の上の世界の話。

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走力と山力は違うらしい

望月選手のスピーチに続き、今年はじめてTJARを走った三選手のパネルディスカッション。

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もう少し身近に感じられる話が聞けるかと思ったのがバカでした。そもそも、ランのための走力と、TJAR完走に求められる「山力」とでもいうべき力はまるで違うようで、やってる練習がこれまたabso-fucking-lutely crazy。

     ・標高3000m以上の北岳で、風速30mを超える中、大雨が吹き込むストックシェルターに全裸で過ごすことにトライ、どこまで寒くなって耐えられるかの実験

     ・北海道在住なので、会社までの7kmを前代未聞のクロスカントリースキーで通勤

     ・毎日の駅までの往復4kmを、歩きで筋肉がパンパンになるぐらい全力で歩く練習

などなど、英語で聞いてるのかと思うぐらい、自分のリスニング能力を疑いました。うーん、未知の世界。走力についてですら、月間走行距離200km程度だとめちゃめちゃ少なくて、5〜600kmという方がざらということで、思わず遠い目に。

知らない言葉がいっぱいの装備

次のセッションは装備について。装備の重さはレースを左右する重要な要素ということで、それぞれ独自の工夫を凝らしていらっしゃるようです。

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これでも100kmを超えるウルトラトレイルはやっているし、トレッキング程度だけど山歩き経験はあるし、Fuji Rockを3日間テントで過ごせるぐらいのキャンプ用品は持っているので、そこそこのことは分かるかと思ってました。

が、これまた完全に未知の世界。まるで分かりませんでした。ごめんなさい。

ザックですら、トレランのものとは違い、こういうのや、
yamatomichi
山と道 ONLINESHOP

こういうのや、

Inox running pack

聞いたこともない名前が目白押し。もちろん、勉強不足というのもありますがorz セミオーダーとかハンドメイドが普通の世界なのね……

それにしても、荷物をグラム単位で軽量化するための工夫とか圧巻でした。あらゆるマットを比較し、ほんの少しでも軽いものを選んだり、お尻までの長さにカットして最小限にしたりというのは、ここに参加している人であれば誰でもやっていることのようです。

さらには、軽くてどこでも入手しやすいものにライトの電池を統一。電池基準でライトを選んでいるため、それに合うヘッドライトがなく、ハンドライトを自作のホルダーで頭に付けているなんていう話も。

うーん、もうよく分かんないです。でも、そういうレベルのレースだということが分かったのが最大の収穫。こういうレベルの違いは、直接肌で感じてショックを受けないと、自分の基準が切り上がらないので。

しかし、こういう自分の知らない世界、たまらないですね。昼寝でもしたくなる秋晴れの夕方でしたが、ギンギンの冴え冴え、あっという間の2時間でした~

Image(37) トランスジャパンアルプスレース 2014 | Trans Japan Alps Race 2014

<後編>につづく。

死ぬまでに一度は走ってみたいレースシリーズ①|TJAR(Trans Japan Alps Race) <前編>

もう3週間ほど前のことになりますが、10月19日の日曜日、東京代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターに行ってきました。ここのところしばらく、ハセツネ完走記を書いていたので、すっかり遅くなってしまいましたが……

秋晴れの気持ちいい天気の中、たくさんのイベントが催されていたようです。

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そこへ何をしに行っていたかというと・・・

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こちらです。「TJAR2014」の報告会に参加してきました。

TJARとは?

「TJAR(Trans Japan Alps Race)」は、二年に一度開催される、その名の通り日本アルプスを越えるレースなんですが、一言で言うと、abso-fucking-lutely crazyな山岳レースです・・・

「TJAR(Trans Japan Alps Race)とは、日本海/富山湾を午前零時にスタ-トし、 北アルプスから中央アルプス、そして南アルプスを越え、太平洋/駿河湾までの距離:約415Kmの道程を交通機関を一切使わず、自身の足(走り、歩き)のみで 1週間 (+予備日1日)以内に踏破することをめざすちょっとハ-ドな山岳アドベンチャ-レースです。」

(Source: Official Web 「TJARとは?」 )

なんと、日本海側から太平洋側まで、北アルプス・中央アルプス・南アルプスを越えていくとは・・・制限時間は8日間ですが、もちろん宿に泊まったりはしません。放置プレイです。すべての荷物を自分で背負います。そもそも、制限時間が「時間」単位ではなく、「日」単位ですから。予備日って何?? これを「ちょっとハードな(※)」と表現できる、運営側の感覚がまったく理解できません。

※今見たら、ちょっと文章が変わっていました。

     「烈風に晒され追いつめられる自分、悲鳴をあげる身体、絶望的な距離感、何度も折れそうになる自分の心」

など、「ちょっとハード」どころじゃない表現に修正済み(笑)

そして、こちらが報告会でも紹介されたコースレイアウト。

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何この高低図……415kmという距離もさることながら、28000mという累積標高差は、想像を超えすぎていて笑えてきます。

東京から神戸まで直線距離で400kmほどだそうです。その間に、富士登山22回分の登り降りを行うということですね。死ぬほどつらかった奥久慈トレイル50Kがかわいく思える。3つのアルプスが分かりやすいほどに尖ってます。

こんな、とんでもなくやばそうなTJARですが、ちょっとだけ出てみたいと思いませんか?完全に怖いものみたさですけど。以前から興味があったので報告会に行ってみたら、すっかり心を奪われてしまいました・・・

この報告会には、完走できた人もできなかった人もいらっしゃったんですが、何だかもうみんな楽しそう。やってきたことの過酷さに対して、この満足感と多幸感にあふれた雰囲気はなんなんでしょう。このレースに参加できるだけで誇りなんだろうなあ。TJARだもんなあ。

何年もかけて準備して、選考会に出場して、選ばれたメンバーとともに、TJARに挑む。これはもう、大人の部活だな。とびっきり本気の。

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ちなみに、これはトレイルランではありません。登山です。耐久登山。なので、調子に乗ってノーポチしたりはしないです。綿密な計画と準備をして、数年がかりで挑戦すべきものです。そもそも選考会があるから、そんなに簡単に出場できませんし。

だからこそ、自分の中にしっかりくさびを打ち込むために、こんなエントリを書いてるわけですが(汗) 走ってみたいですよね。いつかはね。死ぬまでに一回ぐらいはね。

Image(37) トランスジャパンアルプスレース 2014 | Trans Japan Alps Race 2014