先週末の日曜日に参戦してきた第22回日本山岳耐久レース(ハセツネ)の完走記その10、総括です。
これまでのエントリは、こちら。
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第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記①|やっぱりハセツネは”山岳耐久レース”だった。 | reboot blog
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記②|台風から逃げ切れ!ハセツネスタートです。 | reboot blog
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記③|恒例の大渋滞で超スロースタート。 | reboot blog
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記④|入山峠、怒濤のアップダウン開始。 | reboot blog
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記⑤|「拷問のようなアップダウン」をようやくクリアで浅間峠! | reboot blog
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記⑥|やっとこさ半分。無心で三頭山登頂! | reboot blog
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記⑦|寒さと眠さの後半戦スタート。第2関門月夜見駐車場まで。 | reboot blog
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記⑧|真夜中の激登、御前山→大岳山→御岳山。順番、覚えられんわ。 | reboot blog
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記⑨|ゴール後の豚汁食べてたら雨降ってきたぐらい、台風よりほんの少しだけ早くゴール! | reboot blog
アキレス腱炎が教えてくれたこと
そんなわけで「8ヶ月連続ウルトラマラソン/ウルトラトレイルチャレンジ」7本目となるハセツネを辛くも完走しました。
今回、完走の難易度を上げてくれたのは、なんといっても負傷中の右アキレス腱とそれによる練習不足。信越五岳からの4週間全く走れていない中、前々日に5km走ってみたら、走ってる途中にどんどん痛くなってきて絶望的な気持ちになってました……
結局どれだけ全体の調子が良かろうと、一カ所でもイマイチなところがあれば、残念ながらそこに全体を合わせざるを得ないということで。
今回は右アキレス腱でしたが、去年の白山・白川郷ウルトラの時は足底だったし、野辺山ウルトラの時は右腸脛靭帯。体が万全であっても、水切れ・補給切れを起こしたら、次のエイドまでセーブして走らざるを得ないということもありますし。
先日UTMBを完走したシーモさんからも、ライトの電池が切れて走れなくなり、DNFを余儀なくされた人の話を聞きました。モン・ブランまで行ってライトでDNFとは……
ランニングにも適用できる!? 「制約条件の理論」
そういう状況だったからかは分かりませんが、走っている最中は、頭に浮かんでしまった「TOC」というワードに終始頭の中を占領され…… 走ってるとただでさえ思考能力が奪われていくのに、よりによってこういう小難しいことに頭をジャックされると消耗が加速。 こういう時は運が悪かったと諦めるしかないんですがorz ぐったり。
「TOC(Theory Of Constraints=制約条件の理論)」は、日本でも10年以上前にこちらの本がベストセラーになっているのでご存知の方も多いと思いますが、一言で言うと、ボトルネック(つまり、瓶の首の部分のように、全体プロセスの中で一番細い=制限されている部分)のスループットを上げないと全体のスループットも上がらないよ、という理論です。ぼくも学生時代に読んだっきりですが(汗)
ランニングは全身運動。いくつもの動きが連動して大きな一つのプロセスとして働いていると考え、TOCが適用できるとしてみましょう。この理論が面白いのは、弱点以外の部分をいくら強化しても弱点をカバーすることにならないところ。ボトルの太い部分がいくらスループットを増やしても、細いネック部分を通過しなければいけないプロセスである限り、太い部分は全体のスループットに貢献しません。
これが何を意味するかというと、今日のあなたの一番遅いところに規定されるスピードが、そのまま今日のあなたのスピードになるということです。どれだけ速く走れる脚力をもっていても、走れないぐらいお腹が痛くなってしまったら、脚力なんて関係なく歩くしかない。プロのレースでよく参照される「持ちタイム」なんてものも、本当は一切関係ないんじゃないかと思います。問題なのは、今日の状態であって、ポテンシャルではないですから。
今回は、ボトルネックだった右足が健気に頑張ってくれました。テーピングも効果的だったし、痛み出さないように徹底的に抑えて走ったのがよかったんだろうと思います(醍醐丸から楽しくなって、ちょっとはしゃいでしまいましたけど)。
ロキソニンを6錠投下して痛みを封じ込め(ようとしたけどダメだっ)た野辺山の時のように、痛み止めを使ってねじ伏せるという手もなくはなかったんですが、とても長引くと言われているアキレス腱炎。敵対することなく和解し、二人三脚で走ることを選択したのは、レース後の回復具合を見ると正解だったかな、と。いやー大人になりました(笑)
ボトルネックへの対処はレースでしかできない
TOCによると、遅さにつながり得る要素=ボトルネックをどれだけ解消できるかが、全体のスピードを上げるために何より重要ということになります。
でも、練習では故障した状態のまま無理して走ることはほとんどありません。というかあってはいけません。痛くなったら即刻中断すべきだし。
だからこそなんですが、ボトルネックが発生した状態での練習はなかなかできない。ピークパフォーマンスを上げるための練習はできるけど、ボトルネックにうまく対処するような練習は本番じゃないとできません。無茶して毎月ウルトラ走っていると、こういうトラブルには事欠かないので、本当にいい練習ができたシーズンでした(笑)
これがいわゆる「レース経験」と言われていることの、一つの側面なのかも。
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ちなみにゴールした後は、豚汁を食べながら雨から避難。荷物置き場の体育館で、激しい雨音が響く中、しばし爆睡してました……
その後、帰り道の後楽園のラクーアに直行、温泉と冷水を往復してアイシング。即日のケアが大事ですね。
レースから3週間経って、ようやくアキレス腱も回復してきたので、そろそろ月末の最終戦に向けてランを再開しようと思います。しかし、毎月ウルトラは本当にオススメしません。レース間隔が短すぎて、リカバリーと調整だけで次のレースを迎えてしまうので、走り込みが全くできず、ちっとも速くならないんですよね……
もはやレースがポイント練習です。