今日は、一つの着想から次のアイデアを”吸い上げる”具体的な方法について。
いいアイデアが出てきたら、それを”呼び水”にしてポンプのようにガンガン吸い上げましょう!
(1) 「なぜいいアイデアだと思ったのか」を問う
吸い上げ方として最も簡単な方法は、「なぜいいアイデアだと思ったのか」を一度掘り下げ、そこから拡げることです。
いいと感じた理由を掘り下げていくと、その理由を満たす他のアイデアが自然と出てきます。多くの場合は、その理由がいくつもあったりするので、芋づる式に出てくることも多いです。
たとえば、「冬の朝に早起きするための方法」というお題について考えていたとしましょう。
「エアコンのタイマーで、起きる時間に布団から出たくなるぐらい部屋を暑くする」というアイデアが出たとして、これを「いいアイデアだ!」と感じたら、なぜそう感じたのかを一度立ち止まって考えてみましょう。
もし、その「布団の中にいるのを不愉快にする」というアプローチに面白さを感じたのだとしたら、
・起きる時間に、枕が熱くなるようにする
・起きる時間に、枕が高くなるようにする
・起きる時間に、布団が重くなるようにする
・起きる時間に、布団が冷たくなるようにする
・起きる時間に、お○しょをしてしまったような感触を与える
・目覚まし時計のアラーム音を、黒板をひっかいている音にする
・目覚まし時計のアラーム音を、上司の声にする
・・・
などなど、「不愉快なことって何だろう?」と別の方向に頭を使えるようになるというわけです。
(最後のアイデアは、起きれたとしても絶対イヤですけど・・・)
(2) 「Why-How-What」どこについてのアイデアなのかを問う
企画を考える際には、「Why-How-What」を考えることが重要です。
- <Why>はMissionで、「なぜ、それをやる/つくるのか?」
- <How>はDirectionで、「どう、それをやる/つくるのか?」
- <What>はSolutionで、「何を、やる/つくるのか?」
ですね。
個別のアイデアについても、これと同じように、どのレベルの話をしているのか考えてみることが大切です。
たとえば上の冬の早起き法の例で言うと、「部屋を暑くする」というアイデアは、具体的な解決方法ですから<What=Solution>にあたるアイデアです。この具体的なアイデアから引き出した「布団の中にいるのを不愉快にする」というのは、解決の方向性になりますので<How=Direction>にあたります。
元のアイデアが<What>レベルだと認識できれば、次は<How>レベルで拡げてみようということを考えられるというわけです。
つまり、「布団の中にいるのを不愉快にする」とは別の<How>として、たとえば、
・「早く起きたくなる状況をつくる」
・「早く寝たくなるようにする」
・「気が付いたら起きていた、という状況をつくる」
・・・
といった感じでしょうか。
<How>を変えただけで、出てくるアイデアの方向性が変わってきそうな気がしませんか?ここで出てきたそれぞれの<How>について、またアイデア出しをします。
簡単な問いの場合は、わざわざこんなことを考える必要はないですが、複雑なビジネス課題を解決しようとしている場合などでは、<How>レベルで考えている人もいれば、<What>レベルで考えている人もいます。ここを合わせるだけでも、アイデア出しがよりスムーズで活発なものになります。議論のレベルを合わせるという意味でも、重要な視点ですね。
(3) いいアイデアは、ライバルアイデアとして品質基準にする
最後に、あえて違う領域に向かうための方法として、内容については一旦切り離してしまい、アイデア品質の参照基準として使うというやり方があります。
たとえば、「朝起きたらコップ一杯の水を飲む」というアイデアがあったとして、「部屋を暑くする」というアイデアの品質と比べると、まだまだ後者の方が起きたくなりそうです。コップ一杯を後者のレベルまで引き上げようと考えてみると、
・コップ一杯の水を夜用意しておいて、起きたらすぐ飲む
という考えに進化するかもしれません。それでも、まだ比べてみるとまだイマイチと感じたとすると・・・
・コップ一杯のオレンジジュースを夜用意しておいて、起きたらすぐ飲む
となるかもしれません。それでも、イマイチであれば・・・
・朝起きたら、大好きなコーヒーがすぐ飲める準備をしておく
になるかもしれませんし、
・大好きなコーヒーの香りで目覚める
になるかもしれません。
ライバルアイデアを置くことで、それと同じ基準まで引き上げるための参考として使うということです。これだと、異なる方向性のアイデアも、育てやすくなりますね。
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ここに挙げたのは、とても基本的な使い方の例ですが、いくつかアイデアさえあれば、それを”呼び水”に、いくらでも別のアイデアは吸い上げられそうですよね。別のアイデアが生み出せれば、一つのアイデアに固執して、振り回されることも減ります。
今日は、限られた時間の中で、アイデア出しをするための考え方をご紹介しました。ぜひ一度、使ってみてください!