先週末の日曜日に参戦してきた 信越五岳トレイルランニングレース110kmの完走記その8です。
これまでのエントリは、こちら。
信越五岳トレイルランニングレース110km 2014 完走記①:優しいレースではあったけど、易しいレースではなかった(゚Д゚;) | reboot blog
信越五岳トレイルランニングレース110km 2014 完走記②:スコット・ジュレクも登場!競技説明会&ウェルカムパーティー。 | reboot blog
信越五岳トレイルランニングレース110km 2014 完走記③:スタート@0km〜1A@18.5km。爽やか・フカフカ・重い脚。 | reboot blog
信越五岳トレイルランニングレース110km 2014 完走記④:1A〜2A 我慢の序盤戦、斑尾山。 | reboot blog
信越五岳トレイルランニングレース110km 2014 完走記⑤:2A~3A 序盤の中ボス袴岳&長ーいドロドロ下り。 | reboot blog
信越五岳トレイルランニングレース110km 2014 完走記⑥:3A~4A 灼熱の関川沿いでぐぐっと押し上げ。 | reboot blog
信越五岳トレイルランニングレース110km 2014 完走記⑦:4A~5A 激眠!睡魔と闘う霧の登りんどう&笹ヶ峰牧場。 | reboot blog
5A@66.6km~6A@81.0km (区間 3時間01分)
最大のエイド5Aでは、ドロップバックをピックアップし、右アキレス腱の擦れを診てもらう。かなり擦れているようで、消毒液にうめき声。テーピングで応急処置をしてもらい、少しマシにはなったものの、ゲイターとか、長めのソックスとか、次のレースはちゃんと手を打たなければ。
どんなささいな痛みであっても、体積で言ったら全身の0.1%にも満たない程度の小さなものであっても、たった一か所それがあるだけで、全体のパフォーマンスがぐっと落ちるもの。
疲労については110kmもの距離を走ろうと思ったら、それ自体は不可避なので、うまく付き合うためのマネジメントをしなければいけないのに対し、痛みというのは、それが痛みになる前に予防・排除し続けるマネジメントをしなければいけない。つまり、異なる二つのマネジメントをしなければいけないってことです。疲れてくる体をほぐし、いなし、だましながら、一方では痛みの芽がどこかに出てきていないか、もぐら叩きしながら走っているようなもんです。
今回は、もぐら叩きに手が回らず、しっかり痛みが出るところまで芽が出てしまって大失敗。この後、登りは筋疲労と肺との闘い、下りは右足首の痛みと闘うという、気の休まらない展開となりました。まあその、休まらないと言っている”気”というのも、あるのかないのか分からないぐらいの消耗ぶりでしたけど。
ともかく簡単な治療を終え、GARMINを携帯充電器で充電しながら、自分の体もしっかり充電。スープパスタ、みそ汁&シャリ玉(すでにみそ汁の中に投下済み)、温泉まんじゅう、コーラ。この前に治療を受けながらPower Barもいくらか突っ込んでいます。

補給しながら、この後のナイトランに備えてドロップバッグに入れておいたヘッドライト&ハンドライトを装着。同じく入れておいたアクティブシェルを、バックパックのすぐに出せるところに格納し、序盤ですぐに外したアームカバーを再装着。
エイドが充実しているのでほとんど使っていないお守り用のジェルも、一応補充。結局、ここまでは、ロングパートだった3A~4A/4A~5Aの、それぞれ区間の後半で一つずつ摂っただけ。しかし、ここからは歩く時間が長くなることも想定されるので。後半戦に向けて、VESPA Hyperもここで投下。
ちなみに5Aは、第2関門。関門時刻18:00の一時間前、17:00に5Aを出発。もはや一切、余裕なしです。

5Aはペーサーとの合流ポイントでもあります。ペーサーは付けなかったんですが、ここで合流して息を吹き返すランナーも多く、またペーサーに引っ張ってもらってペースを上げるランナーも多くて、羨ましく思いながらその姿を眺めました。
「ペーサーにつぶされることもあるし(オーバーペース)、疲れすぎててケンカすることもある(笑)」と石川プロデューサーが説明会で言ってましたが、メリット・デメリット含めて、このレースの楽しみ方の一つではあるなあ。ペーサーで出るのも面白そうだよ、お役に立てるかは別にして。今か今かと、パートナーが5Aに入ってくるのを待ち受けたりしてみたい。
乙見湖にかかる橋を渡ると階段を登ってトレイルに突入。休憩で少し冷えた体が再び温まる。

5Aから6Aは、中盤の大ボス黒姫山登りを含む14.4km。しかも、この登山道はドロドロです。しかもしかも、時間的にはこの区間でナイトトレイルに突入します。

区間行程の2/3以上が登り。6Aの予定時刻は19:30。勝負所の2時間半!

20分ほどの休憩でリフレッシュ。しばらく続く走れるトレイルはしっかり走ります。

途中で70km地点を通過。ようやく残り40km、フルマラソンの距離ですが、トレイルではその距離感覚も当てにはなりまへん。

黒姫山の登山道へ向かう林道で、すっかり日が暮れてまいりました。

登山道への入口、73.3km地点に給水所が。みなさん、必死に英気を養うふりをしていますが、実際はかなりぐったり、戦意喪失中といった雰囲気・・・

ここからはライト点灯。意識がそこそこ保っていられる間は、ヘッドライトで足を置くルートを判断しながら、ハンドライトで足元を照らす。

しかし、足を上げてからその着地点が泥っどろであることに気づき、無理に体をよじって回避したり、やむをえずそのまま泥に突っ込んだりといったことも多々あり。12時間以上動き続けていることを考えると、それも仕方ないかと半ばあきらめムード。
完全に暗闇ですが、矢印の看板とそれについたライトの点滅だけを頼りに方向を確認して進む。案内の数は十分あり、迷うことはありません。運営の素晴らしさに感心。

実は、登山道入口の給水所の照明が見えたところで、一瞬、これで黒姫山の登り終わりかなあと思ったんですが、もちろんそんな甘いことがあるわけもなく、暗闇の泥の中、かなりの長時間(少なくても体感時間としては)もがき続けることになりました。荒い呼吸音と少し距離を置いて並ぶライトの光。
泥に足が取られそうになって、飛びそうになっている意識が戻ってくるということを幾度となく繰り返した後、暗闇の中からまとまった数の明かりが揺れているのが目に入ると同時に、「ここが頂上でーーーす!!もう少しだけがんばってください!!!」という神の声。

全く写ってないけど、こんなに寒い中、暗闇で道案内と応援をしてくれたスタッフのみなさん、涙が出るほど嬉しかったです。ありがとうございます!!!
黒姫山のピークを超え、下りに入るとなぜか急に泣けてきた・・・右足首が擦れて火傷のように痛いっす。
どちらかと言うと涙もろいので、感極まって泣けてくることはよくあるんですが、完全に思考停止した状態でなぜか泣けてくるという、初めての経験。「なんでこんなつらいことやってんの?」と自問自答してるのか?自問してるのかどうかすらよく分からないほど、何も考えられないけど、なんだか泣けてくる。うぅ、うぅ…
右足首の痛みと、だるい脚の鈍さだけは明確に感じながらも、夢見心地で下ってきたピークからの5km。通り過ぎる時に照らされる木に光が当たると、おばあちゃんに見えるよ・・・それに、脇の草むらで、獣的な何かが並走してるように感じるんだよなあ。何かいるのかな。一人で走ってるのに、誰かに追いかけられてる感じだし。自分の足音かな。まあ、いいか。どうでもいいや。
いやいや、いかんいかん、と首を振って正気を保ちながら6Aにたどりついた時、ようやく完走が現実味を帯びてきました。

あまりに長い時間、暗闇の中にいたため、すっかり真夜中のような感覚ですが、まだ19:38。計画の19:30から8分の遅れ。この区間、本当につらかった。よくがんばった…
「信越五岳トレイルランニングレース110km 2014 完走記⑨」へ続く。