第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記⑧|真夜中の激登、御前山→大岳山→御岳山。順番、覚えられんわ。

先週末の日曜日に参戦してきた第22回日本山岳耐久レース(ハセツネ)の完走記その8です。

これまでのエントリは、こちら。
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記①|やっぱりハセツネは”山岳耐久レース”だった。 | reboot blog
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記②|台風から逃げ切れ!ハセツネスタートです。 | reboot blog
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記③|恒例の大渋滞で超スロースタート。 | reboot blog
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記④|入山峠、怒濤のアップダウン開始。 | reboot blog
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記⑤|「拷問のようなアップダウン」をようやくクリアで浅間峠! | reboot blog

第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記⑥|やっとこさ半分。無心で三頭山登頂! | reboot blog
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記⑦|寒さと眠さの後半戦スタート。第2関門月夜見駐車場まで。 | reboot blog

第二関門:月夜見第2駐車場@42.09km〜第3関門:御岳山@58.00km

月夜見を出てからは、なかなか急な下りトレイルへ。

休憩効果なのか結構走れ、一気に駆け降りながら何人かパス。しかし、ハンドライト一本だと、走る振動で揺れて路面状況を把握しきれないので、やっぱりもう一本必要か……ヘッドライトは頭痛くなるし、ウェストライトを検討しよう。
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30分ほど補給を消化しながら気持ちよく走っていると、突如目の前に現れる急登……なんだっけ、これ??

おかしい。後半戦は「特徴のない下り基調」だったはず。近くのランナーに聞いてみると、御前山の直登ですよ~とのこと。さらに、まだこの先にも登りありまよと、とも。

改めて高低図を取り出し確認。がーん、たしかに登ってる。しかもその先、大岳山という山登りも待っている。
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ハセツネは、奥多摩の山々をぐるっと一周回るコース。いくつもの山と峠を超えていく。そもそも全部覚えてられないのに、後半戦は山の名前が似すぎていてなおさら覚えられない。スタッフの「もうすぐ○○ですよ~」の声援が、何を意味しているのか分からない。

御前山を超えたら大岳山。
大岳山を超えたら御岳山。
御前山、大岳山、御岳山。

御岳山まで行けば、第三関門がある。

これだけ地図を見ていたのに、通過するまで「三岳山」だと思っていたが、おそらく「三頭山」に引きずられてのことでしょう。とにかく、50kmも山の中のアップダウンを走ってきた深夜に、こんなにたくさん山の名前を覚えるなんて、罰ゲーム以外の何物でもない。

コースを覚えるのはレース中の心の安寧にとって重要な要素だが、山と峠が多すぎるハセツネにおいては極めて難度が高い。強度が高いのはコースだけではないのだ。いや、覚えられないほど山と峠が多すぎるから強度が高いのか。

まあ、ここまで来たらそんなことはどうでもいい。信越五岳の瑪瑙山登りを思い出しながら、全身を肺にして、御前山登頂。ここまで12時間10分。
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想定外の厳しい登りで脚が売り切れ。コーラをちびちび補給しながら、踏ん張りの効かない脚で下り切ったところで大ダワ到着。すっかり真夜中。まだ20km残ってるのが笑えてくる。
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一瞬腰を下ろしジェルを補給するも、地面が冷たすぎる。ハセツネは本当にゆっくり休めるところがない。休みすぎると体が固まりそうなので、すぐに出発。
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お次は大岳山。

振り返ってみると大岳やマは最後の難所で最難関。最恐岩場。もはやロッククライミング。深夜3時になんでこんなところで岩よじ上らないといけないんだよ、と。

体力も精神力もごっそり削られました、大岳山。でも意外と元気な昼間に行ったら、大したことなかったりするんだよな。ともあれ、山頂へ。
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下りは下りで鎖場もある岩場。同じ山なんだから仕方ないか。深夜3時になんでこんなところで鎖にしがみつきながら降りないといけないんだよ。

下り終えてしばらく林道を走ると、第3関門の御岳山@58km地点を通過です。全然、進みませんわ。
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「第22回 日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記⑨」へ続く。

第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記⑦|寒さと眠さの後半戦スタート。第2関門月夜見駐車場まで。

先週末の日曜日に参戦してきた第22回日本山岳耐久レース(ハセツネ)の完走記その7です。

これまでのエントリは、こちら。
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記①|やっぱりハセツネは”山岳耐久レース”だった。 | reboot blog
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記②|台風から逃げ切れ!ハセツネスタートです。 | reboot blog
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記③|恒例の大渋滞で超スロースタート。 | reboot blog
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記④|入山峠、怒濤のアップダウン開始。 | reboot blog
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記⑤|「拷問のようなアップダウン」をようやくクリアで浅間峠! | reboot blog

第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記⑥|やっとこさ半分。無心で三頭山登頂! | reboot blog

三頭山@35km〜第二関門:月夜見第2駐車場@42.09km

やっと腰を下ろせたものの、山頂が寒すぎたので、ここまで我慢して取っておいたおにぎりを補給して早々に下り開始。夜もすっかり更けてるので、寒いのも当然。山頂付近は霧でライトが乱反射し、視界がかなり狭かったんですが、下るにつれて開けてきました。
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ハセツネは前半が勝負と聞いていたので、前半はそれなりに計画を立てていたものの、後半戦に関しては全くのノープラン。

携行していた高低図も、前半は細々と目標タイムなんぞを書いていったんですが、
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後半は関門情報ぐらいしか書いておらず……
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特に特徴のない下り基調と聞いていたもんですから。「とにかく前にさせ進んでさえいれば、いつかは着くはず」ぐらいの気持ちで、補給を消化しながらゆっくり下ります~というか、ゆっくりしか下れない急降。

三頭山から一気に400mほど下ってきました。九十九折の下りを抜けると、暗闇の中たくさんの人がダウンジャケットを着こみ、にぎやかに応援してくれていた鞘口峠。
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鞘口峠のあとは、また急登。下り基調って便利な言葉ダナー。「基調」なだけであって、登りがないなんて誰も言ってないもんね。おにぎり補給してなかったら潰えてました、間違いなく。アキレス腱をかばっていたお尻とハムから限界間近の悲鳴です。

登り切ると、下りから細かなアップダウンのダラダラトレイル。しかし、足元がおぼつかない。もう眠いし。けっこう何度も、ふらついて足を踏み外しそうになり、ライトを向けると崖になっていて鳥肌もんでした……

ロードに出た!ということは、
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やりました~第2関門、月夜見第2駐車場到着!
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このレース、最初で最後の補給!水とポカリの二択!!

食べ物はないけど、そんなことより、疲れ切った体でたどり着く明るいエイドと応援は、ただそれだけでありがたいものです。ああ、感謝。
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そろそろ新しい日を迎えようとしています。
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信越五岳も夜中の3時まで走ったけど、朝まで走るのは違った意味で体に負担がかかります。

長時間動き続けることは、きつい。たとえそれが深夜の3時になろうと4時に及ぼうと、あくまできついことをやっているに過ぎない。でも、夜通し動き続けることは、人間的に反したことをやっている。きつさの質が違う。

だから、ハセツネを走ってみて初めて、二晩超すような100milesレースを完走する人のすごさが分かりましたよ。本当に尊敬します。

三頭山でおにぎりも消化し、大した補給も残っていないけど、ここで最後の切り札「命の水:コーラ」を投入。月夜見までは手をつけないというのがマイルールその2でした。い、生き返る……
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明るいところでゆっくりしたいんですが、これまた深夜の冷え込みで激寒のため、一度寝転がってストレッチを済ませて早々に出発。ハセツネには、本当にゆっくりできるエイドはないっす。三頭山前後からは、サバイバルシートに身を包んで暖を取って休憩する人もチラホラ。やっぱ耐久レースです、これは。
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「第22回 日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記⑧」へ続く。

第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記⑥|やっとこさ半分。無心で三頭山登頂!

先週末の日曜日に参戦してきた第22回日本山岳耐久レース(ハセツネ)の完走記その6です。

これまでのエントリは、こちら。
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記①|やっぱりハセツネは”山岳耐久レース”だった。 | reboot blog
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記②|台風から逃げ切れ!ハセツネスタートです。 | reboot blog
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記③|恒例の大渋滞で超スロースタート。 | reboot blog
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記④|入山峠、怒濤のアップダウン開始。 | reboot blog
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記⑤|「拷問のようなアップダウン」をようやくクリアで浅間峠! | reboot blog

浅間峠@22.66km〜三頭山@35km

ハセツネは、エネルギーを補給できるエイドが一つもない…… もちろん関門箇所にも計測器とトイレ以外は何もないのでそそくさと第一関門を出発したわけですが、ここまでも補給はこまめに。

序盤は、長めの登りに入る度に塩キャラメルを口に放り込み、それがなくなると、フラスクに7個分入れたPowerBar Gel(Kona Punchとカフェイン入りのGreen Appleを半分ずつ)。フラスクにはジェルと一緒にアミノバイタルも混ぜてあり、これだけで補給ができるようにしてありますが、いかんせん飽きるのでビーフジャーキーとのコンボで攻めます。

食べられなくなったら終わりなので、自分にとって食べやすいものを、食べやすい状態で携行し、絶え間なく口に入れ続けること。これが、人より長く走らなければいけないギリギリランナーの、完走最低条件。

ビーフジャーキーはジェルの口直しとして、ここ最近では完全に定着しました。終盤に入ってからは、胃腸が弱ってきたのかあまり気が進まなかったものの、今回もかなり助けてくれました。終盤は、無性にベビースターの塩味が恋しくなり、事前の買い出しで一瞬頭をよぎっただけに、手元にないことが残念でなりませんでした。次は間違いなく持参します。

走りながらちょくちょく補給しながら、暗闇の中まだまだ続くアップダウンを行きます。等間隔のヘッドライト。
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浅間峠から西原峠まではほぼ記憶なし…… ただ淡々と走り続けた2時間。

暗くなってからしばらくはヘッドライト一本で走ってましたが、この区間で頭が痛くなってきたので、ヘッドライトはしまい、ハンドライトに切り換え。併用前提なので、少し暗いですが、頭を解放することを優先。醍醐丸から気持ちよく走っちゃったので、心拍が上がりすぎだったのかもと反省。
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西原峠を越えると、三頭山へ向かう急登の始まり。途中でパラパラと雨が降ってきたので、アクティブシェルをザックの上から装着。雨粒が木の葉に弾かれる音が響く中、ひたすら急登。
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両手をつかってよじ上る大きな岩場が目の前に。「ゲート」という通称の通り(?)、三頭山への門のように立ちはだかっておりました。ここで三頭山頂上までの半分らしい。しかし、こういう場はハンドライトだと、両手が使えずつらい。
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ぜえぜえ言いながら登り続けると小屋が現れる。腰を下ろして休む人も多かったが、「三頭山まで座って休まないルール」によりスルー。

木段が出てきたら三頭山まであと少し。という事前情報を信じて登ります。きっつ。
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そして、ようやく三頭山登頂……マイルールから解放され、やっと座って休める〜 

どんなに小さなものでも、自分との決め事は一つ一つきっちり守っていくことが大切。あっという間にOut of controlになっていきますから。

ここまでの所要時間が9時間。3000mを超えているので、獲得標高でいうと全体の2/3ほどは登ってきたことになります。後半は下り基調のはずです。
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他のレースだと、後半になればなるほどペースが落ちていくので、前半と後半の所要時間は後者の方がかなり多くなるのが普通ですが、ハセツネの場合は前半が登り基調で相当タフなので、半分である「三頭山までの時間の倍」≒「完走タイム」という方程式が成り立つらしい。

この式のよると18時間、実際のゴールタイムは17時間41分なので当たってるかな。まあこの時は、すでにそんな計算できる余裕ありませんでしたが(笑)

「第22回 日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記⑦」へ続く。

第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記⑤|「拷問のようなアップダウン」をようやくクリアで浅間峠!

週末の日曜日に参戦してきた第22回日本山岳耐久レース(ハセツネ)の完走記その5です。

これまでのエントリは、こちら。
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記①|やっぱりハセツネは”山岳耐久レース”だった。 | reboot blog
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記②|台風から逃げ切れ!ハセツネスタートです。 | reboot blog
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記③|恒例の大渋滞で超スロースタート。 | reboot blog
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記④|入山峠、怒濤のアップダウン開始。 | reboot blog

醍醐丸@15.2km〜浅間峠@22.66km

醍醐丸を通過した辺りから、ようやくアキレス腱に負担をかけずに走る感覚が分かってきて、多少はスピードが上がるようになってきた。中足部で、まっすぐ足を置くだけなら痛みはないみたい。

これまでじっと我慢してきた分、サイドブレーキ解放して走りたいように走ったこの区間。トレイル走るのやっぱ気持ちいいわ〜

登りと下り、どちらかというと登りの方が得意なのか、登りでポジションアップすることが多いんですが、今回は下りの楽しさに目覚めてしまいました。

アキレス腱炎で走れなかった分ちょっとだけ強化した体幹がうまく働いたのか、脚への衝撃は逃がしながら、転がるように体を落としていくことができてとても面白い。踏ん張りながら下ってない分、スピードアップ!などと調子に乗ってたら、案の定お尻からすっ転びましたが……
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気持ちよく走っていたら、いつの間にか真っ暗。目の前に大きな岩場が現れたので、仕方なくライト点灯。
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周りの人もライトを装着し始めます。いよいよナイトパートスタート。
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しかし、相変わらずのアップダウン。下から下から、修行僧たちのヘッドライトの光が湧き上がってくる。九十九折りの連行峰に突入。この登り、めちゃめちゃ長いっす。第一関門までに、どれだけの試練を用意するのか。ハセツネやっぱ、性格悪いっす。
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ところどころに木段がありますが、これまた滑って消耗。
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生藤山への登り(?)。まだ三分の一も来ていないのに真夜中のような暗さ。一体、今どこを走っているのか。
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やっと出て来た標識でようやく位置確認。もうちょいで熊倉山頂上。熊倉山からもうちょいで浅間峠です。第一関門までが、ひたすら長くキツい。
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信越五岳は登りも下りもそれぞれが長かったので、「登り、もういいよ〜」「下り、もういいよ〜」と思ってましたが、細かいアップダウンが絶え間なく続くのも、それはそれで堪えるもの。あと何回登ったら着くとか、分からないから。人間、先のことが分からないまま頑張り続けることはできないですね。

あの相馬選手が「拷問のようなアップダウン」と評した浅間峠までの道のり。浅間峠の明かりが見えたときは、ほっとしました……やっとのことで到着。めちゃめちゃ走り応えのあるコースでした。こういうところを、力でねじ伏せられるようになりたいし、上手にいなしながら走れるようにもなりたい。
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しかし、この賑わい、Fuji Rockの夜にしか見えない。でも補給できるものはない。こういう雰囲気だと、ついついグリーンカレーとか沖縄そばとか豚串とか食べたくなっちゃいます。

ここからストックが使えるので、みなさんここで準備。ストックうらやましい。

三頭山までは座って休まないという、事前に決めたマイルールに従い、ここはトイレだけを済ませ5分ほどさっさと出発。
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にぎわう関門を後にし、三頭山へ向かいます!
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「第22回 日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記⑥」へ続く。

第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記④|入山峠、怒濤のアップダウン開始。

先週末の日曜日に参戦してきた第22回日本山岳耐久レース(ハセツネ)の完走記その4です。

これまでのエントリは、こちら。
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記①|やっぱりハセツネは”山岳耐久レース”だった。 | reboot blog
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記②|台風から逃げ切れ!ハセツネスタートです。 | reboot blog
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記③|恒例の大渋滞で超スロースタート。 | reboot blog

入山峠@7km〜醍醐丸@15.2km

入山峠から市道山へ向かいます。

この細い階段も渋滞ポイントのはずが、すでにかなり後ろの方にいるので待ち時間はほぼなし。
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さあ、怒濤のアップダウン開始!ここからが本当のハセツネの始まり。

下って、下って、
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登って、登って、
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大きく下って、大きく登る……
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絶え間なくアップダウンが続く峰見通り。登りはすぐに詰まるし、全然ペースが掴めない。無理して抜いていっても消耗するだけだし。しかし、予定よりだいぶ時間がかかってることだけは間違いないっす。

ようやく市道山分岐までやってきたと思ったら、すでに3時間20分が経過。2時間〜2時間半を目安にしてたので、すでに1時間のビハインド……
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おいおい、日が沈んじまうぜ┐(´д`)┌

ということで、ちょっとだけ先を急ぎます。自分のペースで気持ちよく。
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細いけど走りやすい吊尾根を疾走。
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走れるぐらいの登りの中に、きゅきゅっと急登を何カ所かはさみ、醍醐丸へ到着。体力的にはほどよく気持ちよくなってきたものの、既に17時過ぎ。まだまだ序盤なのに、やっぱり1時間ほど遅れてます。
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まあ、せっかくのハセツネなので、できるだけ長く楽しむことにします。早く着いても、どうせ始発待たなきゃいけないし!

序盤の渋滞を取り戻そうなどと、変に走力に見合わないことをすると、完走すらこぼれ落ちる……身の丈に合ったランが一番です。と自分に言い聞かせながら、第一関門浅間峠へ!

「第22回 日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記⑤」へ続く。

第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記③|恒例の大渋滞で超スロースタート。

先週末の日曜日に参戦してきた第22回日本山岳耐久レース(ハセツネ)の完走記その3です。

これまでのエントリは、こちら。
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記①|やっぱりハセツネは”山岳耐久レース”だった。 | reboot blog
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記②|台風から逃げ切れ!ハセツネスタートです。 | reboot blog

スタート@0km~今熊神社〜入山峠@7km

スタートしてから数kmは住宅地を抜けて、トレイルへ向かいます。沿道の「自分の足で帰ってきてね!」という応援。走らない地元の方にも、このレースの厳しさが浸透してるんでしょうね(笑) この先さっそくの上り坂を無難に歩きます。
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廣徳寺を過ぎ、トレイルが始まるとさっそく恒例の大渋滞です。参加が2000人を超えるレースですからね~
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しかし、長丁場なのでここは慌てず。右足アキレス腱炎とのお付き合いもあるので、いいウォーミングアップということで。あまりに動かないので、脚が固まるのは心配でしたが……

しかし、トレイルの入り口から、いつまでも大声の応援で見送ってくれました!
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渋滞を抜けるまでに4~50分。毎年大体それぐらいかかるという情報を得ていたので平年並みというところでしょうか。この時点でほぼ最後尾が見えるぐらいの位置です。どうせ渋滞するので、最初からここまでは歩いても全く同じですね…特にここまでの坂など、間違っても走らないように。

動き出してからは、シングルトレイルを一列になって進みます。
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すぐに一度、新多摩変電所脇のロードを抜けて・・・
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突き当たりを右折、今熊神社へ。神社脇がレース開始後の一番近いトイレでしょうか。渋滞で身動きも取れず、汗もそれほどかかないので、序盤の水分補給はほどほどにしておいた方がいいかもしれません。かなりやばい状態で駆けこんでいる人がたくさんいましたよー
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神社入り口の盛大な応援を受けて、いよいよ本格的な山に入ります。右足の調子を見ながら、石段をこつこつと。アキレス腱に負担がかからないよう、踵には体重が乗らないように。しかし、序盤からなかなかの登り。
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今熊山から刈寄山方面へ、入山峠へ向かいます。
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しかし、動きはするものの渋滞は全く解消されず。気持ちよく走れるペースよりだいぶ遅いので、押さえるというより、ちょっとストレスが溜まるぐらい……

のんびりと列のペースに合わせ、予定より30分以上遅く入山峠へ到着。
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ここまでは大渋滞で、全く思い通りに進んでないものの、結果的にはいい入りでした。右足アキレス腱炎も軟着陸、痛みなくスタートできたのは、この超スロースタートのおかげかな。

信越五岳で炎症を発症してからというもの、全く走っていないこの一ヶ月。トレイルを走れること自体がうれしいっす。まだ7km、1/10ですからね〜のんびり行きます。

「第22回 日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記④」へ続く。

第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記②|台風から逃げ切れ!ハセツネスタートです。

先週末の日曜日に参戦してきた第22回日本山岳耐久レース(ハセツネ)の完走記その2です。

これまでのエントリは、こちら。
第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記①|やっぱりハセツネは”山岳耐久レース”だった。 | reboot blog

まずはレース結果報告

前のエントリでご紹介の通り、自分の走力に比べ「ごっつきついやん!」だったハセツネですが、まずはレース結果を。

第1関門:22.66km 5時間45分17秒 @浅間峠
第2関門:42.09km 10時間41分57秒 @月夜見第2駐車場
第3関門:58.00km 15時間17分36秒 @御岳山長尾平

を経て、17時間41分56秒で無事完走…AM7時少し前に五日市会館に帰ってきました!

あわよくば16時間ぐらいで、という考えもありましたが、完治しなかった右足のアキレス腱炎と、そのせいでこの1ヶ月全く練習できなかったことを考えると上出来という自己評価です。

それより、トレラン2シーズン目でハセツネを走れたことが何より嬉しいっす。

大会全体としては、超大型台風19号の影響で、一時は開催も危ぶまれたものの、結果的にはレースにとってはほぼベストのコンディションとなりました。完走率も高め??

・出走:2264名
・完走:1922名
・完走率:84.9%

そして、一人で勝手に今年4月から続けている毎月ウルトラ企画の戦績は、

・4月: チャレンジ富士五湖112km ⇒完走
・5月: 野辺山100kmウルトラマラソン ⇒完走
・6月: サロマ湖100kmウルトラマラソン ⇒DNF
・7月: 大雪山ウルトラトレイル110km ⇒完走
・8月: IRONMAN JAPAN 北海道(トライアスロン226km) ⇒完走
・9月: 信越五岳トレイルランニングレース110km ⇒完走
・10月: 日本山岳耐久レース(ハセツネ) ⇒完走

ということで、6勝1敗となりました。これで長かった8ヶ月に渡る闘いも、ようやく残り一戦というところまで。

受付〜スタート

夜通し走ることを考えて、当日はできるだけ遅くまで寝てやろう(笑)と8時半起床、カーボローディングとして、家で餅を3個ほどレンジモチアミで焼いて、放り込んでから9時過ぎに出発。

レースは13時スタートなので余裕のあるスケジュールなんですが、ウルトラトレイルは大体、前泊で早朝スタートが多いので、朝遅い上に自宅出発というのは、なんか調子が狂います……

最寄駅は、JR五日市線の武蔵五日市駅。ハセツネ30Kでも来ました。11時に駅に着くぐらいの電車で行ったんですが、参加者と同伴者でいっぱい。
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駅のコンビニでさらにおにぎり3個を買い足し、2個は会場まで歩きながら、1個はレース中の補給食としてバックパックへ。駅のコンビニもレース態勢になっていたので、水やおにぎり等十分用意されてました。

駅を出たところには、歓迎の幕。
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そして、のぼりが会場まで。
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10分ほど歩くと、会場の五日市会館へ到着。受付を済ませ、さらっと展示を見て回りレース準備に入ります。
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荷物置き場は、スタートの五日市中学校の体育館が用意されてるんですが、場所取りが壮絶。すでにほぼいっぱいです。みなさん早めに来て、シートやら寝袋やらで場所確保してるんでしょうか。10時間台前半で完走される方は、始発待ちの時間が発生するので、そのための準備なんでしょうね〜
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ゼッケンを付けたり、テーピングをしたりしてるとあっという間にスタート30分前。特にアキレス腱炎が完治しなかった右足は、負担がかからないようにNew-HALE Xテープを使って固定レベル2でガチガチに固めました。結果的にはこれがめちゃめちゃよかったです。
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スタートは、おおよそのゴール予定時間ごとに並ぶようになっているので16時間の看板のところに並ぶ。序盤の渋滞を回避したいからか、10時間/12時間のところには、実際の完走タイム以上のランナーが集まっているように見えますが……
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信越五岳でも一緒だったS山さんが、スタート前に発見してくれました!信越を走り終えた時は燃え尽き気味で、「ハセツネはモチベーションが回復したら走ろうかな」等と言ってましたが、無事回復したようで。お互いの健闘を祈ります。

校庭をぐるっと一周回るような形でスタートゲートを順番にくぐります。
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ゲートまで3分ぐらい、いよいよスタート!
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この日の気温はスタート時点で16度ほどと涼しく、とても走りやすいコンディション。台風による大雨は翌13日の午前中からという予報だったので、台風の来襲までに帰って来れるかどうかは自分次第という、恵まれた(!?)状況でのスタートとなりました。

「第22回 日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記③」へ続く。

第22回日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記①|やっぱりハセツネは”山岳耐久レース”だった。

先週末の日曜日、10月12日に第22回日本山岳耐久レース(通称”ハセツネCUP”)に初参戦してきました!
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日本山岳耐久レース 71.5km

日本山岳耐久レースは、今年で22回を数える、日本のトレイルランレースの伝統的な大会。フルマラソンも走れなかった頃から知っていた大会であり、いつか走ってみたい(けど話を聞くと、とんでもない!)と思っていた大会でもあります。

だから今回は、いよいよ自分が走れることになって感慨深いものがありました……ハセツネじゃなかったら、信越で発症して完治しなかったアキレス腱炎を押してまで走ることはなかったかもしれません。

ちなみにこのレース、「ハセツネCUP」の愛称で親しまれていますが、これはソロクライマーとしてヨーロッパアルプス三大北壁冬季単独初登攀や南米アコンカグア南壁冬季単独初登攀など数々の記録を達成した世界的クライマー長谷川恒男の業績を讃え、その名を冠した大会となっています。

信越五岳トレイルランニングレースと対照的だったハセツネ

レースの特徴はというと、

・東京都あきるの市武蔵五日市を起点に、奥多摩山域をぐるっと時計回りに一周する71.5km
・累積標高は4670m
・13時スタートで制限時間は24時間
・エイドは一か所で、1.5Lの水分補給のみ

ということで、71.5kmという距離だけ見ると、ウルトラトレイルを走り慣れている人からすると「まあまあの距離」程度かもしれません。が、実際走ってみると、「ハセツネ、ごっつキツイやん!」でした。キツいキツいとは聞いていましたが、距離だけで判断してはいけません。

直近で走ったのが信越五岳なので、ついつい比較してしまうんですが、この二つは全く対照的でした。

●走れないハセツネ

全体的に走れるコースだった信越五岳と比べると、ハセツネは全然走れないコースでした。もちろん、走れないのは自分の走力のなさではありますが……

最後の数kmを除いて林道もほとんどないし、トレイルは気持ちよく走れるような箇所は数えるほどしかなく、執拗なアップダウンが続きます。かなり、性格悪い系のコースです(笑)

10時間半かけて37kmしか進めずDNFとなった奥久慈の悪夢を思い出しました。
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実際、ハセツネ第2関門の月夜見山では、10時間42分で実測約39km(マップ上は42km)と、ほぼ同じ所要時間でした。いやーキツかった……
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●エイドがないハセツネ

上述の通り、ハセツネはエイドが第2関門の月夜見山第2駐車場の一か所しかありません。しかも、水分補給のみ。水かポカリかは選べても、食べ物は何一つございません。つまり、第2関門@42km地点までの水分と、全71.5km分の補給食は全て自分で担いで走らなければいけない設定です。 

しかし、それもそのはず。このレースの位置付けについての説明をご覧ください。

ヒマラヤではファイナルキャンプよりアタックするとき、頂上を極めてからアタックキャンプに帰還するまで、昼夜にわたることがしばしばあります。これを私たちのふるさと東京の山におけるトレーニングの一環として、ヒマラヤを目指す若いクライマーの登竜門として、この『日本山岳耐久レース』を位置づけていきます。
(Source: Official Web Site「ハセツネとは」)

って、ヒマラヤ目指してませんから……

この説明からすると、エイドが一か所あって水分補給できるだけでもありがたいと言わざるを得ません。信越五岳のオアシスのようなエイドが、もはや思い出の世界です。冷やしトマトと戸隠そば、うまかったなぁ。

●夜走らせるハセツネ

この距離の大会で昼のスタートはかなり珍しいと思いますが、ハセツネは13時スタート。もちろん理由は上の通り。ヒマラヤではファイナルキャンプから頂上を極めて再びキャンプに戻るまで昼夜に渡ることがしばしばあるのです!

だから、ヒマラヤ目指してないってば……

つまり、これは完全に夜走りなさいという設定。日曜のレースなんだし、他の大会と同じように早朝スタートにすれば、夜パートは減るんですから。
同じナイトトレイルといっても、信越五岳が”成り行きまかせの夜更かし”レベルであるのに対し、ハセツネは”完全覚悟の徹夜”を要求されます。少なくても、当日中に帰れるSub10ランナー以外は、夜パートの方が長くなる非常にタフなレースです。

水分や補給食に加え、夜パートのためのライトやらアクティブシェルやらを合わせると、携行する荷物も結構な重量になります。おそらく過去に走ったレースの中で、荷物は最も重かったと思われます。

やっぱり「山岳耐久レース」だった

そんなわけで、信越五岳より40kmも短いのに、負けず劣らずタフだったハセツネです。

信越五岳が「トレイルランニングレース」で、ハセツネが「山岳耐久レース」である意味が、走ってみてよく分かりました。これから走るみなさん、ハセツネはトレランではありません、山岳耐久レースです。ヒマラヤはそうそう走れないし、エイドもないし、明るいうちに帰ってこれるとは限らないのです。そのための訓練のつもりで臨みましょう!

「第22回 日本山岳耐久レース”ハセツネ”完走記②」へ続く。

精神論であって根性論でない。UTMB完走ランナー&日本縦断3000kmランナーとの邂逅。

一昨日・昨日と、珍しく二晩続けて会食でした。今年は”ラン大学”学生の身ですから、もちろんただの会食ではございません。

一昨日は、トレイルラン世界最高峰レース・UTMB(168km/累積標高9600m)をこの8月に完走された、通称「シーモ」さんの完走祝いの会。
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(顔出しNGの方もいるかもしれないので、一応ぼかしますが真っ当な会です)

そして昨日は、ただいま北海道から九州まで、単独で日本縦断3000kmランまっただ中の、通称「RED」さんが東京に到達したので、応援する会を。
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(同上)

いや~お二人とも顔つきが精悍。まとっているオーラがそこらの人とは違って見えるのは気のせいでしょうか!? 見た目がいかついというのもありますが(笑) ちなみに「ごつい」ではなく「いかつい」です。只者ではない雰囲気がそこはかとなく漂ってます。
(どちらもセッティングしてくれたラン仲間羅王さん、ありがとうございました!)

そんな只者ではないお二人の言葉

それぞれのラン話を聞いていて、お二人とも響く言葉をいくつも残していきましたが、いくつかご紹介すると、

●UTMB完走ランナー:シーモさん
「UTMBを完走するには、メンタルが8割」
「走力的には、Sub4程度の走力があれば完走可能」
「『もうダメだ』と思う瞬間なんて波のように何度もやって来るもの」

……実践できるかどうかは別にして、勉強になります。メンタル8割というのは勇気が出ますね。フィジカルはかなり自信ないですが、メンタルだけは毎月ウルトラで鍛えてますから。

●日本縦断3000kmランナー:REDさん
「疲れたなんて言ってられない。前に進むだけ」
「後悔したくない。やりたいからやるだけ」

うーん、至ってシンプル。そして、雨の中東京まで走ってきた本人の昨日のブログでも、

…が、
それでも走る。
走らないと何も始まらないし、
立ちすくんでいても、歩いていても時間は過ぎる。
なら、いっそのこと、走った方がいい。
行くしかない。

とか言っちゃってます……かっけー。2ヶ月間毎日50km以上走るようになると、こういう境地に達するんですね。

『31st day ー 立ちすくんでいても、歩いていても、時間は過ぎる』 | Go To The SAHARA!

お二人とも、さらっと語るんですが、経験に裏打ちされているだけあって、ずっしりと重い。

しかし、体のどこをどう鍛えるとか、走力アップのためにどんなトレーニングをするのか、みたいな話は全くと言っていいほど出てこないんですよね。もちろん、並外れた体力・走力をお持ちの二人、鍛えていないわけはないんですが。それでも、その口から出てくることは、ほぼ精神論。信じられない距離を走ってきたこの二人の言葉に共通するのは、結局すべて気持ちの問題だということです。

精神論≠根性論

さらに言うと、二人を支えているのはあくまで、精神論であって根性論ではありません。

二人とも、ただただ「気合だーーー!!!」「根性だーーー!!!!!」と叫んでいるわけではなく。気合と根性だけで走り切れないことは、重々承知なんでしょう。上の言葉も、まるで自分自信の身体に向けて、諭すように語っていたんですよね。

ちなみに、精神論と根性論の違いですが、

精神論(せいしんろん)とは、人間の精神力が、物質的な劣勢を、跳ね返せるとの立場を指す。
(Source: Wikipedia 「精神論」 )

ここでいう「物質的」には、もちろん肉体も入ります。体がどれだけ辛くても、気合があれば乗り切れるということ。

根性論(こんじょうろん)とは、苦難に屈しない精神=根性があれば、どんな問題でも解決できる・またはどんな目標にも到達できるとする精神論の一つ。
(Source: Wikipedia 「根性論」 )

一方の根性論は、精神論の一種ではあるものの、根性だけで全ての問題を解決できるという、極端な立場のことを言います。。

根性論といえば、一昔前の「水飲むな!」「うさぎ跳び!」形式のしごきを連想してしまいますが、精神論は身体をマネジメントするための心のあり方、とでも言えばいいんでしょうか。

心のあり様が、体のあり様を決める。
心のあり様によっては、動く体も動かない。

結局のところ、そういうことなんだと思います。しかし、話を聞いていると、なんだか走りたくなってきますね〜まだ週末のハセツネの筋肉痛バリバリですが(笑) お二人の言葉を胸に、11月のレースを走ろうと思います!

“ラン大学”で学んだことシリーズ|(4)「火事場のクソ力」訓練で、全力感覚を強制的に叩き込む。

“ラン大学”で学んだことシリーズです。

2014年の年間テーマは、

     「身体を通して学び、学んだことを身体知化する」

でございました。走ることを通して、身体を通して、学んで、消化して、吸収して、自分の血肉にしようということで。

そういうわけで、タイトルの”ラン大学”は<ランニングについて学ぶ大学>ではなく、<ランニングを通して学ぶ大学>の意。走ることを通して学んだことを、順不同&不定期で書いていきます。

このシリーズを書き始めた経緯についてはこちらから。

***

“ラン大学”で学んだことシリーズ|(3)「火事場」は自分でこしらえる。 | reboot blog
の続きです。

全力を出すための訓練のステップ

繰り返しになりますが、全力を引き出すのは簡単なことではありません。そもそも、力を出し切るのは「安全圏にいたい」という生存本能と逆の方に振り切る作業ですから。

ちゃんとそのための訓練をしなければ、

① がんばる!
② できる限りがんばった結果を「全力」と錯覚

の2ステップで終わりです。そして、それは全力ではありません。

ですので、まずは全力を出さざるを得ない状況に飛び込むことが必要。そんな状況を自ら設定することが必要という話です。普通の生活をしている限り、そういう状況に遭遇することは、ほとんどありませんから。

というわけで、全力訓練のために取るべきステップは、

① 計画的に「火事場」を用意
② 用意した「火事場」に飛び込む
③ 「火事場」で「クソ力」を強制的に引き出す
④ 「クソ力」の感覚を心身に覚え込ませる
⑤ 「クソ力」感覚に至る方法を試行錯誤する

の5つです。

「全力というのはこういうことか」という感覚を自分の中に作った上で、それを頼りに色々試しながら答え合わせしていくという地道な作業です……きれいに解ける方程式じゃないですから、変数に一個ずつ数字を入れていくしかないっす。

「全力でがんばれ」という前に

子どもの頃、学校の先生が「全力でがんばれ!」とよく言っていましたが、今思えばとても空虚です。そんなかけ声で全力が出せたら苦労しないんだから。

それよりも、「あの時のことを思い出せ!」と言えるような、火事場経験を用意してあげることの方が、よっぽど大事な先生の仕事なんじゃないかと。全力を出さないとクリアできないような課題と環境とサポートを与えるべきなんじゃないかと思います。中身なんて何でもいいじゃないですか。

そういう役割を(意図してるかどうかは別にして)担っているのが部活だったりするんだろうし、ガチの体育会系の人が社会に出てからもハイパフォーマーであるのは、こういったことも関係しているんじゃないでしょうか。

大人の部活をやろう

話を戻しますが、5つのプロセスの中で一番難しいのが①「火事場」の用意です。はなから諦めてしまうレベルであってもダメ。余力を残しても成し遂げられるようなレベルでもダメ。

目標設定にまつわる議論でよく言われている「ストレッチターゲット」のもっと上、頭のネジが飛んでないと踏み込めないぐらいのところを突かないとダメです。

ただ、こういうレベルを攻めるのはリスクが伴うので、仕事や本業では難しいかもしれません。そういう時こそ大人の部活をやりましょう。大人の部活で全力の出し方を覚え、その全力を仕事にぶつけましょう。

そして、この目的で大人の部活をやるのであれば、ランは最適な対象と言えます。ランはとても「火事場」を作りやすい。ギリギリの全力をタイムで引き出してもいいし、距離で引き出してもいいし、登ったり下ったりで引き出してもいい。人それぞれ、自分に合った方法でギリギリを攻めやすいです。

ぼくが完走ギリギリレースを選んで走っているのも、全力に迫ることができそうだからだし、制限時間ギリギリだろうとDNFだろうと、失うものは何もないからです。強いていえばエントリー費とつまんないプライドぐらいのもの。体はボロボロになりますが、そもそも健康のために走っているわけじゃないですしね〜

【仮説】全力が出せたときの指標は「感謝の心」

最後に、「クソ力」を発揮している時について、一つ仮説を。

「火事場のクソ力」の時どんな状態なのかは人によって違うと思いますが、自分自身の感覚からいえば本当に全力を振り絞っている時には、ドヤ感など全くなく、なぜか感謝の気持ちしか湧いてこない状態になります。

もしかすると、自分の実力以上のものが、目に見えない力によって引き出されたかのように感じているからかもしれません。なんだか急にスピリチュアルな話でごめんなさい。

ひねくれた性格の自分ですら、白山・白川郷100kmウルトラマラソンのあとのブログなんかを見ると、感謝の気持ちが素直に綴られております…… もちろん、今振り返ってみても、嘘偽りのない感情。本当はいつでも感謝の気持ちに包まれているような人間になりたいものですが。

“ラン大学”で学んだこと(4)

「火事場のクソ力」訓練で、全力感覚を強制的に叩き込もう。
訓練の場が必要なら、大人の部活をやろう。